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介護職員の不足深刻化、東南アジアで人材獲得を強化 採用活動費に一部補助

厚生労働省は来年度、深刻な介護職員の不足を受け、東南アジアで介護人材の獲得を強化する。日本の介護事業者が現地で採用活動を行う経費の一部を補助し、インドネシアでは介護の教育プログラムの創設に着手する。高齢化の進展で介護が必要な高齢者が増えるため、外国人材の受け入れに戦略的に取り組む必要があると判断した。
出入国在留管理庁によると、介護の仕事に就くために、在留資格「特定技能」で入国した外国人は2万8400人(2023年末時点)で、政府目標の5割強にとどまる。先進国を中心に高齢化が進む中、国際的な福祉人材の獲得競争が起きていることが背景にある。
厚労省の獲得強化策の一つは、特別養護老人ホーム(特養)を運営する法人や介護福祉士を養成する専門学校などを対象にした渡航費の補助だ。ベトナムやミャンマーなど東南アジア各国の日本語学校や「送り出し機関」を訪問し、勉強や研修をしている若者らを対象に、日本の介護現場の魅力や待遇を伝える説明会を開いたり、面接などの採用活動を行ったりする費用に充てられる。
 1法人あたりの補助額は国と都道府県から計100万円。厚労省は来年度、最大約100事業所の参加を見込む。今年度補正予算案に関連経費を盛り込んだ。
(読売新聞オンライン 12月16日)

 介護職員の不足問題が報道されると、介護職と思える人の書き込みが多く見られる。書き込み内容から介護職を自称しているのではなく、本物の介護職だろうと推察できる。
 目についた書き込みは、政府予算を外国人材の確保に充当するのならば、むしろ介護職の処遇改善に充当してほしいという要望。さらに外国人材が介護現場に適応しにくいという問題である。メディアで紹介される成功事例とは異なる実態が見えてくる。
 たとえば「外国人にばらまく前に、日本人介護士が生活できる給与水準に持っていってほしい」。心情は理解できる。そう訴えたい介護職は多いだろう。
 現場での問題では次のような書き込みがあった。
「うちの施設インドネシア技能実習生使っていますが、定時30分前になると動かない、働かなくなる、何も責任持たされること無いからね」
「日本語が十分に話せないため、利用者とのコミュニケーションがうまく取れず、介護の知識が不足している状態で自己流の介護を行っているケースが見られます。また、清潔に関する概念が日本とは異なるため、感染症への懸念も高まっています」
「微妙なニュアンスの言葉は通じないし、もちろん漢字も読めません。勝手に動いてしまうので職員が1人取られてしまう」
 しかし政府が視野に置いているのは、現場の諸問題よりも目標人数の確保だろう。政策を動かすのはエビデンスだから、現場の諸問題を調査して、生産性阻害との因果関係などを数値化しないと政策には反映されない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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