2024/12/19
就職活動中に受ける性的な嫌がらせ「就活セクハラ」を巡り、性的な関係を強要されそうになったなどの学生からの深刻な相談が絶えない。採用難の中、社員が学生と接触する機会が増えたことも影響しているとみられ、国も問題視している。大学は学生に自衛を呼びかけ、企業も対策に力を入れている。
「インターンで知り合った男性社員に会食に誘われ、1対1で大量に酒を飲まされた。会ったことは誰にも言わないように口止めされた」「『内定を得られるよう手伝うから』と、ホテルに連れ込まれそうになった」――。
就職支援を担う大学のキャリアセンターや一般社団法人「日本ハラスメント協会」(大阪)に今年寄せられた学生の声だ。こうした相談が相次ぐ背景には、学生と社員が1対1で会う機会が増えていることがある。
採用難の中、企業は志望する学生を増やそうと、社員が指導するインターンシップ(就業体験)や、就職した先輩の話を聞くOB・OG訪問の受け入れを積極的に行っている。就職情報会社マイナビの調査では、2025年卒の就活生は9割近くがインターンに参加した。4人に1人はOB・OG訪問をしており、平均で約5人と会っていた。
(読売新聞オンライン 12月7日)
採用業務にともなうセクハラには、ふた昔前なら無自覚の言動も含まれていたが、いまどきのセクハラは確信犯とみてよい。何がセクハラに該当するのかどうか。昭和時代の体質が染みついた世代と違い、現役世代はNGと判断される言動を一般常識としてわきまえているはずで、それだけにタチが悪い。
対策を講じている企業を紹介する。厚生労働省作成の「就活ハラスメント防止対策」には対策の事例が報告されている。
たとえば大林組は、面談時に面談ルールと相談窓口を記載したカードを学生に提示・提供し、リクルーターが学生と面談するときは必ず事前に社内申請する必要があり、申請内容はすべて人事担当部門が確認している。このルールによって「誰が、誰と、どこで、いつ会うか」が明確になったという。このルールは就活中の学生との面談に限らず、OB・OG訪問や大学のキャリアセンターからの依頼による面談など、すべての学生との面談に適用されている。
ニッポンハムグループは2021年に、就活ハラスメントへの注意喚起が明記された「ニッポンハムグループ採用ガイドライン」を作成した。ガイラインは採用担当者を集めた会議や各事業部の管理職級から成る選考官の勉強会で使用されている。さらにハラスメントについて学ぶ事業所単位の「コンプライアンス勉強会」、職場や事業所のコンプライアンス活動の成果を共有する「コンプライアンス大会」、社長や役員、管理職などを対象に「コンプライアンス研修」を行っている。
好事例を紹介するだけでなく、セクハラを犯した企業の社名公表も必要だ。社名が公表されれば加害者は特定され、抑止力も働くだろう。
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