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欠員発生時にバーンアウトの傾向 パーソル総研調査

 パーソル総合研究所は、「オフボーディング(欠員発生時の組織的取組)に関する定量調査」の結果を発表した。
欠員発生後の組織では、後任・上司ともに残業時間が伸び、バーンアウトリスクが高まる傾向があり、欠員発生後、40.0%が「他にも退職する人がいそうだ」と感じている。
欠員発生時の上司からの業務の割り振りの特徴は、類似業務の担当者に引き継がせる「横滑り」(48.3%)や、部下の業務量がおおよそ均等になるようにする「均等割」(41.5%)の指示が多い傾向がある。
 一方、上司が成長を期待する部下に業務を多めに割り振る「育成志向」による指示は問題が発生しにくく、積極性や責任感が向上しやすい。業務を「横滑り」や「均等割」などで割り振る「平等志向」は問題や上司による業務の巻き取りは発生しにくいが、積極性や責任感は向上しにくい。
業務の引き継ぎを実際に行った割合は77.6%で、5人に1人以上は業務の引き継ぎがないままチームから離れている。
(パーソル総合研究所作成レポートを要約 11月27日)

 あらかじめ欠員発生に備えた組織体制づくりを実施している職場はどこまであるのだろうか。退職や求職で職場を離れるときに、はじめて当人の担当業務をどうカバーするかと
対策を講ずるのが通例だろう。
 調査結果を受けて、パーソル総合研究所は後任担当者の業務負担軽減策を提言する。引き継ぎ時間が不足しやすいチームの特徴を見たところ、空気を読むことが求められ、暗黙のルールが重視されるハイコンテクスト文化や、決定事項が上から下に降りてくるなど「トップダウン志向が強いチーム、日常的に休みがとりにくいチームだったという。
 では、どんな対策を講ずればよいのか。パーソル総研は①欠員発生にかかわらず、日常的にチームの文化を見直して備えること②実際の欠員発生の際には、引き継ぎ時間を確保するために各自の動きを見直し、チームで理解することが重要③高い業務理解は、成長展望の向上や退職意向の低下などに関連しており、欠員発生後の苦境を乗りこえる鍵――を挙げる。
 いずれも組織運営のイロハであり、妙手ではない。しかしイロハであるだけに日頃は視野に入っていないことが多く、欠員が発生したときに困惑してしまう。BCP(事業継続計画)の視点が必要だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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