国家公務員の夏の勤務時間を1~2時間前倒しする「ゆう活」が2カ月の試行期間を終えて8月末に終わる。朝型勤務の新しい風を吹かせ、定時退庁で家族と過ごしたり趣味に当てたりする時間を増やすよう促したが、各省庁の成果には大きな差が出た。
働き方を所管する厚生労働省は村木厚子次官が率先して早く退庁した。「美術館より飲み会」派だと周囲に語り、長時間労働を解消する旗を振った。内閣人事局が調査した7月29日の全省庁のうち、定時退庁の実施率は65%、厚労省は64%となり、省内から「日本年機構の情報流出問題の対応に追われていなければもっと高かった」との声が漏れた。
(日本経済新聞 8月29日)
「ゆう活」の成果は省庁間に差が出たが、問題は根付くかどうかだ。これから年末年始にかけては新年度の予算編成や制度改正などで、部局によっては「ゆう活」どころではあるまい。
たとえば定時退庁を率先垂範すべき象徴でもある厚生労働省はどうか。来年4月に診療報酬改定が実施されるが、所轄する保険局医療課の職員は、いつの改定時にも改定作業に追われて1週間近く省内に泊り込むとか、朝帰りが続くとか、まさにブラック企業並みの過酷な就労環境に置かれる。今回の改定作業でも同様に、保険局は不夜城と化すに違いない。
今年4月の介護報酬改定を控えた1月下旬の土曜日の夕方、所轄する老健局の課長補佐に面談したとき、彼は口を開くのが、いかにも億劫そうだった。「大変ですね・・・」と声をかけると、こう返してきた。
「全然寝てないんですよ。今日は帰れますけど、明日も朝一番に出勤しなければならないんです」。
スーツの上下はシワだらけだった。
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