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公立校教員に残業代支給を検討 定額廃止案、勤務時間を反映

 公立学校教員の処遇改善を巡り、残業時間に応じた手当を支払う仕組みを導入する案が政府内で浮上、関係省庁が検討を始めたことが3日分かった。採用すれば、残業代の代わりに一定額を給与に上乗せ支給する現行の「教職調整額」制度は廃止する。教員の長時間労働の解消が課題となる中、勤務時間を反映した賃金体系へ変え、管理職に過重労働を抑える動機が働くようにする狙い。
 実現すれば、教員処遇の抜本的な制度転換となる。早期の関連法案提出を求める声がある一方、実効性を確保するには責任者による教員の勤務実態の把握など課題も多い。政府内では異論もあり、調整は難航が予想される。  
現在の教員給与特別措置法(給特法)は、公立校教員に残業代を支払わず、代わりに教職調整額を支給すると定める。文部科学省は待遇を見直して教員不足の改善につなげようと、教職調整額を現在の月給4%相当から3倍超の13%に増額する案をまとめ、2025年度当初予算の概算要求で関連費用を計上した。
(共同通信 11月3日)

公立学校教員の勤務時間は、1週間の上限が40時間(休憩時間を除く)、1日上限は8時間と定められているが、実態は法令にほど遠く、1週間の勤務時間は小学校・中学校ともに50時間を超えている。月に200時間超で、これが離職を引き起こしている。
東京都の場合、都教育委員会の発表によると、2023年度の新規採用教員で1年以内の離職率が4・9%と3年連続の増加をつづけた。離職理由で最も多いのは自己都合の159人だが、その半数程度が病気という。
教育業界専門の転職サイト「Education Career」によると、元教員の転職先で多い職業は「学習塾の講師や教室帳」「各種スクールのアドバイザー/接客担当」「教材やカリキュラム作成担当」「教育機関の事務」などという。教員経験を活かせる職業だが、素人目にはせっかく教員試験に合格して定年まで雇用が安定しているうえに、相応の年金も受給できるのに離職してしまうのはモッタイナイと見えるが、当人にとっては激務で心身ともに行き詰ってしまい、離職はやむを得ない選択なのだろう。
教員の就業環境が過酷であることはしばしば報道されているが、業務負担の軽減に加えて処遇改善も急務だろう。時間外勤務に対して残業手当が支払われず、調整手当で代替されている現状はサービス残業を強いられているに等しい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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