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25年卒の大学生、就職内定率95.9% 「売り手市場」鮮明

リクルートは、2025年に卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日時点)を公表した。前年同期を3・9ポイント上回る95・9%で、12年(13年卒)の調査以降では最も高かった。2社以上から内定を得た人も6割強を占め、学生優位の「売り手市場」ぶりが鮮明になっている。
就職支援サイト「リクナビ」に登録した大学生を対象に10月1~4日に調査。790人の回答を集計した。  
10月1日時点の内々定を含む就職内定率の推移をみると、13年卒は76・2%。17年卒から採用選考活動の開始が現行の6月1日に変更され、単純比較はできないものの、17年卒以降は新型コロナウイルス禍の影響が大きかったとみられる21年卒を除き、90%台の高水準が続いている。  内定を得た企業数で最も多いのは「1社」の34・0%、次いで「2社」が28・5%。複数
社から内定を得た人は前年同期比3・4ポイント増えて計66・0%に上った。「5社」(5・3%)、「6社以上」(6・0%)も合わせて1割強に及んだ。  
就職を決めた企業の業種を見ると、最も多かったのは前年に続き「情報通信業」で25・3%。次いで「機械器具製造業」(14・5%)、「製造業(機械以外)」(13・4%)だった。
(毎日新聞 10月15日)

 マイナビキャリアサポートによると、2025年大卒は、「安定」をキーワードに業界を選んでいる傾向があるという。安定の基準は「社会で必要とされる仕事」「福利厚生の充実」「安心して長く働ける」など。25年卒が大学に入学した21年はコロナ渦で、当初からオンライン授業を強いられるなど不安定な学生生活を送り、コロナが沈静化すると物価高騰に翻弄される。
マイナビキャリアサポートは「とりわけ社会情勢の変化には敏感で、不測の事態が起こっても揺るがないと感じる業界を希望する学生が増えていると考えられる」と分析する。
しかし希望する業界に就職できなくとも、売り手市場がつづくので、職にあぶれることはない。
 むしろ懸念すべき問題は、就職活動で頻発しているオワハラ、パワハラ、セクハラかもしれない。
この問題は政府も憂慮し、内閣官房内閣審議官・文部科学省高等教育局長・厚生労働省人材開発統括官・経済産業省経済産業政策局長の連名で24年4月 16 日、経済団体・業界団体等の長宛てに「2025(令和7)年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動に関する要請等について」を発出。①学生の職業選択の自由を確保するため、新卒等の採用を行う企業及び学生と企業 のマッチング機能を担う職業紹介事業者は、オワハラを行わないこと②セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを行ってはならない旨を社員に対して周知をするほか、学生からの相談に対して適切な対応を行う ――などを盛り込んだ。
 たとえ売り手市場でも、社会人と学生が向き合えば、社会人のほうが優位に立つ。再発防止策には面接の録音・録画が有効である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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