2024/09/23
働く若手男性の早期リタイアの希望者が増えている――。民間調査会社が今年実施したアンケートで、そんな実態が浮かび上がった。少子高齢化が進展し、かつてなら定年が近い人ですら「働き盛り」とみられる時代に、若者の意識が変化した背景には何があるのか。
調査はパーソル総合研究所が全国15~69歳の働く男女1万人を対象にした「働く10000 人の就業・成長定点調査」。2017年から毎年2~3月に実施し、働き方に関する意識などを尋ねている。
「人生で何歳まで働きたいと思うか」との質問に対する回答は、平均で20代男性が58・0歳、30代男性は62・4歳だった。1回目の17年調査時は、20代男性が63・8歳、30代男性が66・6歳で、それぞれ4歳以上早まる結果となった。
また、リタイア希望年齢について、20代男性で「50歳以下」とした人の割合は計29・1%で17年の計13・7%から2倍以上増加。30代男性で「55歳以下」とした人も計14・3%から計28・1%と約2倍になった。
20~30代の女性や、40代以上の男女はおおむね横ばいで推移しており、パーソル総研の金本麻里・研究員は「20~30代男性で特異的に早期リタイアしたいと考える人が増えている」と分析している。
(毎日新聞 9月15日)
早期リタイアを望む若年層は人手不足に悩む企業にとって、最も戦力として欲しい層だが、これに逆行するような流れが顕在化している。
対照的に高齢者の現役志向は高まっている。総務省の発表によると、2023年時点の65歳以上の就業者数は、20年連続で増加し914万人と過去最多を記録した。就業者総数に占める65歳以上の就業者の割合は13.5%。これも過去最高を記録した。
65歳以上の就業率は、主要国のなかでも高い水準にあることが明らかになったが、公的年金の支給年齢引き上げが検討されれば、生活防衛を目的に70歳を過ぎても就業をつづける人は増加するに違いない。
年金受給年齢に達すると生活防衛という切実な課題に直面するが、投資などで資産を築いた若年層にとって「現役」はひとつの選択肢になった。
なぜ若いのに早期リタイアを望むだろうか。パーソル総合研究所の調査では、最も多い回答は「働くことが好きではない」で、20代で29・9%、30代で31・8%を占めた。次に多かったのが「家族や友人との時間や趣味などプライベートな生活を充実させたい」。20代は16・7%、30代は20・9%だった。
早期リタイアを望む層が60歳を過ぎてもなお無職を継続すれば、現役年齢という概念は無用になってゆく。
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