2024/09/10
政府は2日、「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム(PT)」(座長・矢田稚子首相補佐官)の会合を首相官邸で開き、男女間の賃金格差について都道府県別ランキングを公表した。
格差が最も大きかったのは栃木県で、最も小さかったのは高知県だった。政府は、今回のデータを参考に各地域で実態を把握し、対策強化につなげてもらう考えだ。
賃金格差は2023年の厚生労働省調査に基づき、基本給を中心とする「所定内給与」について、男性を100%とした場合の女性の賃金の割合を示したもの。格差が最大の栃木は71.0%、最小の高知は80.4%だった。経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進国の平均は約88%(21年)で、日本全体でなお開きは大きい。
賃金格差の大きい地域では、女性の管理職比率や平均勤続年数、正規雇用率なども低い傾向がみられた。矢田氏は会合終了後、都道府県別順位について「首都圏に近いところは(女性が)流出しやすい」ため、結果として残る人の中で非正規労働者の割合が高くなることで格差が広がった面もあると説明した。
一方、調査結果からは格差が小さい地域でも、「夫が外で働き、妻が家を守る」といった性別による役割意識の強さがみられたという。
(時事通信 9月3日)
男女雇用機会均等法が制定されたのは1985年。すでに40年近く経つが、勤続年数や管理職登用の差などが背景にあるのか、いまもなお男女の賃金格差は顕著である。
厚生労働省の2023年「賃金構造基本統計調査」によると、フルタイムで働く男性の平均給与は月35万900円。女性は月26万2600円。男性の74・8%である。この差は年金受給額にも反映されている。
厚労省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」(令和4年度)に男女別の受給額が報告されているが、国民年金の平均額は男子5万8798円、女子5万4426円と約4000円の差しかないが、厚生年金の平均額は男子16万3875円、女子10万4,878円と4万円近い差がある。
「女性版骨太の方針2024」には、男女の賃金格差の公表を義務付づける企業規模について、従業員300人超から100人超への変更を検討すると書かれたが、勤続年数や管理職登用の差が縮まらないと、なかなか賃金の男女差は埋まらないのではないだろうか。
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