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タクシー運転手採用加速 大和は2.2倍、国際は1.7倍に

大手タクシー事業者が運転手の雇用を増やしている。大和自動車交通(東京・江東)は2023年度に採用人数を前の年度比2.2倍に増やした。国際自動車(東京・港)も同1.7倍に拡大、24年度も採用の手を緩めていない。トラック運転手の残業時間の上限が規制される「2024年問題」に備えて歩合で稼げるタクシー運転手の人気が高まった。
「2024年問題によって働く時間を制限され、収入が減るトラック運転手は少なくないだろう。タクシー業界への転職を希望する運転手が当社に集まっている」。そう話すのは国際自動車の松本良一常務だ。同社は23年度、新卒と中途を合わせて前の年度比1・7倍となる977人を採用。24年度も同水準の雇用者数を維持する。
 大和自動車交通は24年度、前年度比1・3倍の採用目標を掲げる。インバウンド(訪日外国人)の急回復などで配車を増やしたいタクシー事業者は多く、運転手の確保は喫緊の課題だ。事実、都市部の大手タクシー事業者の運転手数を22年度末と23年度末で比べると、増えた会社が目立つ。
(日本経済新聞 8月27日)

 大和自動車交通はホームページの採用コーナーに、タクシー乗務員の経験者中途採用の処遇を開示している。
「高歩率だから1年目から年収550万円以上」という景気の良いキャッチコピーにつづいて、「最低でも470万円程で、600万円を超える者が半数以上」と書かれている。さらに
年収例として、入社2年目・23歳に684万円(月給19万323円+歩合+賞与)、入社4年目・43歳に778万円(月給19万323円+歩合+賞与)、入社7年目・45歳(月給19万323円+歩合+賞与)。
あくまで「例」なので、このとおりに支払われるとは限らないが、これに祝金として最大30万円 が支払われるという。
 タクシー会社がドライバー採用を強化する動きは、当初は業界を挙げて反対していたライドシェアへの対抗手段にも見える。
 ライドシェアについては、骨太の方針2024が「安全を前提に、いわゆるライドシェアを全国で広く利用可能とする」という前提で、タクシー会社以外の事業者のライドシェア参入には「法制度を含めて事業のあり方の議論を進める」と述べた。
普及促進へと進む政策に対して、ドライバーを確保すればライドシェアの需要を抑制できると読んでいるのだろうか。どちらを選ぶかは利用者の判断ひとつだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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