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育休カバーの手当支給が拡大 不公平感緩和、幅広い業種で導入

育児休業中の社員の業務をカバーする同僚らに、手当などを支給する企業が幅広い業種で増えている。サッポロビールは今夏のボーナスから反映させ、タカラトミーは7月、沖電気工業は4月に制度をそれぞれ導入した。負担が大きくなる同僚の不公平感を緩和し、育休を取得しやすくする。企業側は離職防止、やる気の向上につなげたい考えだ。
サッポロは、1カ月以上の育休取得者の役職や休業期間に応じた金額を、業務をカバーした社員のボーナスに上乗せする制度を始めた。係長クラスが1カ月休むと、約6万円をカバー割合に従って同僚らで分ける想定だ。業績によって金額は変動する。  
タカラトミーは育休取得者の部署の社員に「応援手当」を出す制度を試験導入した。休業者の給与を基に金額を算定する。沖電気は1カ月以上の育休を取った社員の業務を支援した同僚に、最大10万円を支給する。  
三井住友海上火災保険も昨年から、職場の規模に応じて最大10万円の一時金を支給している。今年4月までに約9千人が受け取った。
(共同通信 7月20日)

育児や介護など何らかの事情で通常勤務のできない社員の業務をカバーすることに不公平を感じるのは、感情の問題なのでどうにもならない。手当を支給すれば、カバーされる側もカバーする側もビジネスライクに割り切りやすいのだろう。
ただ、他の社員の業務をカバーする側も、いつ自分がカバーされる側に廻るとも限らない。要はお互い様なのだが、その関係を理解していても一方的な業務負担を金銭でカバーできる制度があれば、自分の業務を堂々と頼みやすくなる。
お互い様について、満願寺等々力不動尊(世田谷区等々力)の公式サイトに次のように解説されている。
「何ごとも『お互い様』の気持ちでのぞむと心に余裕が持てます。仲間やご近所さん、取引先なども。『お互い様』は自分を律し、相手をゆるす言葉です。「だからこれぐらいいいでしょ」「これぐらいやりなさい」ということでは無いと思います」
 自分を律し、相手をゆるす――手当の支給がお互い様の浸透につながれば、たんに一時的な融和措置ではなく、組織風土形成の有効な手段になり得る。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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