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待遇に不満、市職員が大量退職 22年度35人、5年で100人超 埼玉・戸田

埼玉県戸田市(職員約900人)の2022年度の早期退職者が35人に上り、ここ10年で最多となったことが分かった。転職が増えているとみられ、市は「待遇改善につながるような給与制度の見直しを検討していく」としている。
 10日に行われた市議会6月定例会で、十川(そごう)拓也氏(みらいの会)の一般質問で明らかになった。市人事課などによると、ここ5年の市職員の早期退職者は19年度が17人、20年度17人、21年度15人だったが、22年度に35人に急増。23年度は25人で過去10年でも2番目の多さだった。  
市が昨年行った職員アンケートのうち「今の職場で不満に感じる部分」を尋ねた質問では「待遇(給与面)」との答えが4割超で最も多く、以下、「労働時間(超過勤務等)」「仕事内容・やりがい」の順。「満足に感じる部分」では「人間関係(同僚・部下)」が最多、以下、「人間関係(上司)」と続き、良好な人間関係で働くことに満足しながらも、給与等待遇に不満を持つ職員が多いことが分かった。
(埼玉新聞 6月11日)

 地方公務員の離職者が増えている。総務省の調査によると、2022年度に退職した地方公務員は4万6103人だった。5年前の17年度は3万2290人だから、年間離職者は約1万8000人増えた。30歳未満の割合は22年度で39・5%、17年度は36・9%と若手の離職が顕著である。
 離職理由について、山梨総合研究所・宇佐美淳主任研究員が、23年12月から24年1月にかけて、自治体を退職した経験のある20~34歳の男女1223人を対象にWEBアンケート調査を実施した。
主な退職理由は「自身のキャリアアップを見据えた将来志向の退職(転職)」「給与の額や休暇の取得といった待遇面」「組織内の対人関係等から派生したメンタル面での不調」などだった。会社員の離職理由とほぼ変わらない。
戸田市の調査でも待遇への不満が多いことが明らかになった。公務員の給与水準はけっして低くないが、民間企業の賃上げがクローズアップされると、公務員は割に合わないと思うようになるのだろうか。
地方公務員の離職が増えるのは自治体にとっては由々しき事態だが、雇用情勢が良好であることの裏返しともいえる。雇用情勢が悪化すれば、公務員の身分をみずから捨てる人は減ってくる。当面は、給与水準を高めに設定し、人事異動に本人の希望を反映させるなど民間企業と同様の人材定着策を打つ自治体が増えるだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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