2024/05/30
若者の奨学金返済で、自治体が支援内容を充実させている。千葉県は2024年度に教員採用者の奨学金の全額負担を始めた。兵庫県は中小企業の従業員を対象に最大補助で負担をほぼゼロにする。大学進学者の半数が受給する奨学金の返済負担を軽減し、人材を確保する。
千葉県教育委員会は、日本学生支援機構の第一種奨学金の給付を受ける小・中・特別支援学校の新規採用教員を支援する。採用2年目から10年間、県教委が同機構に直接送金する代理返還制度を活用する。教員の奨学金を全額負担する制度は全国初という。千葉市も同様の制度を導入した。
24年度採用の教員から適用する。25年度以降の採用選考に挑む学生は事前申請が必要となる。県教育庁は「県教員を目指しつつ経済手金安心して勉学に励んでほしい」と話す。
千葉県では教員採用試験の合格後の辞退や教員の産育休取得などで23年5月時点で全校種で教員203人が不足していた。奨学金の返済支援で志願者を増やし人材流出防止などにつなげる。24年度は170人程度の利用を想定している。
(日本経済新聞 5月20日)
労働者福祉中央協議会の調査(2019年3月)によると、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金利用者の借入総額は平均324万3,000円。毎月の返済額は平均1万6,880円、返済期間は平均14.7年だった。
返済額問題の焦点は返済負担の軽重もさることながら、返済義務を知らない延滞者がいることだ。JASSOの調査によると、延滞者の約半数が「奨学金を申し込んだ後に返さなければならないことを知った」と答えている。貸与型と給付型の違いを知らず、返済義務を自覚しないまま借りているのだ。
なぜ、こんな問題が起きているのだろうか。
多くの場合、奨学金を申請するのは高校3年の時だが、契約内容を理解して、返済をイメージしたうえで申請しているとは限らない。百万円単位の借金をするのだから、本来なら教員が重要事項を説明して「借金を背負うこと」を認識させなければならないのだが、延滞者の半数が返済義務を知らかったという調査結果を見る限り、借金であることをどこまで認識させているのだろうか。
奨学金という用語も給付型と貸与型の区別を妨げている一因かもしれない。海外では学生ローンという用語が使われているが、日本でも学生ローンに用語を切り替えたほうがよいだろう。
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