2024/04/26
技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」創設に向けた技能実習適正化法と入管難民法の改正案が16日、衆院本会議で審議入りした。「人材育成・確保」を目的に、人手不足の分野で外国人労働者を呼び込む。即戦力とされる特定技能水準の人材を育て、長期就労を促す。
技能実習は、発展途上国に技術を伝える国際貢献を掲げながら、実態は労働力の確保手段として機能。賃金未払いやハラスメントが一部で起き、失踪者も続出した。育成就労では労働力として受け入れる。技能実習では原則禁止されていた、同じ業務分野で職場を変える「転籍」も認める。
(共同通信 4月16日)
育成就労制度の大きな焦点は転籍の取り扱いである。転籍が就労1年で認められるのか、それとも2年で認められるのか。1年と2年の差異は大きく、転籍まで2年を要すれば失踪問題は解消に至らないのではないだろうか。
また、転籍は地方から都会への人材流出を引き起こしかねない。転籍が可能な時期を迎えた外国人材が地方に勤務している場合、給与水準の高い都会の職場に移動する流れができて、地方からの人材流出が続くことも十分に予想できる。転職先も都内のほうが圧倒的に多く、地方の企業は戦力に育った時点で離職されるという悪循環に翻弄されないとも限らない。
企業の費用負担が跳ね上がることも想定できる。これまで海外の送出機関は日本の監理団体から入国後に36カ月にわたって毎月、送出管理費を受け取ってきた。しかし転籍が就労後1~2年で認められたら、受け取り機関が短くなってしまい、大幅な収入源が必至になる。
これまで送出管理費と同等額を確保するために、送出機関が、たとえば36カ月分を一括して請求するとか、1年目の請求額を大幅に増額するとか、36か月分を24カ月で徴収できるように毎月の請求額を増額するなど、何らかの損失防止を図ってくるだろう。
受入企業の費用負担は一気に増えるが、それでも外国人材を確保しないと人手を賄えないという窮状に置かれた企業が多いのである。
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