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ビジョナル、8〜1月純利益74%増 ビズリーチの利用増

ビジョナルが14日に発表した2023年8月〜24年1月期連結決算は、純利益が前年同期比74%増の72億円だった。IT(情報技術)やコンサルティングなどを中心に国内企業の中途採用が拡大しており、主力の転職サイト「ビズリーチ」が堅調だった。広告費用の下振れも利益の押し上げ要因になった。
売上高は19%増の314億円、ビズリーチ事業の売上高も19%増の274億円となった。ビズリーチのスカウト可能な会員数は1月時点で3カ月前と比べて9万人増の236万人、累計導入企業数は1400社増の2万8900社となった。
末藤梨紗子最高財務責任者(CFO)は「日系企業での雇用流動化の進展が追い風となっている」と話す。足元は生成AI(人工知能)の活用による利便性の向上にも注力している。23年7月に職務経歴書の自動作成機能を投入し、11月には一部の企業向けに求人の自動作成機能の提供を始めた。
営業利益は68%増の97億円だった。好調なビズリーチのほか、新たな収益源と位置付ける人材活用システム「HRMOS(ハーモス)」事業が新規顧客の獲得などにより7割の増収となり、営業赤字が縮小した。(日本経済新聞 3月14日)

 一部企業の採用自粛や厳選採用が継続するものの、プロフェッショナル人材へのニーズは堅調である前提のもとに、ビジョナルは、2024年7月期の連結業績見通しは、売上高が前期比18%増の664億円、純利益が10%増の109億円という従来予想を据え置いた。
今後も中途採用は高水準の需要が継続すると見込んでいるが、ビズリーチでの決定年収1000万円以上の転職数が3年前と比べ、3.2倍に増加し、年収1000万円以上の求人が3年前と比べて2.8倍に増加した。
 ビズリーチを介した50代の転職も増加傾向にある。職種は「経営」が最も多く、COO(最高執行責任者)やCTO(最高技術責任者)、CFO(最高財務責任者)といったCXOポジションや執行役員、経営企画や事業責任者などのポジションで多くの転職が見られたという。
 50代の経営人材の転職が増加したことは、たんに雇用の流動化が進んだだけではなく、経営人材に対する要求水準が高くなり、社内の経営幹部候補では役不足という判断の所以だろう。これも後継者問題のひとつである。
 大和ハウス工業の芳井敬一社長は後継問題のあり方について述べている。
「幹部社員にはいつも『後任候補を聞かれたとき、即答できないようではダメだ』と言っています。それは人を育てていないことになるからです。私も社長に就任して7年目です。村上さん、大野さんも6、7年で社長を退任していますから、後任をだれに託すのか、常に意識しています。次の社長を決めるのは最大の仕事です」(2024年2月15日付け日本経済新聞)

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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