2024/03/01
日本経済新聞社は2023年10〜11月に郵送で世論調査をした。働き方・社会保障に関する質問で何歳まで働くつもりか尋ねたところ、70歳以上の回答が39%で、18年の調査開始以来最も高かった。将来不安に感じることは7割が「生活資金など経済面」をあげた。
何歳まで働くかを聞くと「70〜74歳」が21%、「75歳以上」が18%。「75歳以上」に限っても18年調査よりも5ポイント高く、調査を始めてから最高を記録した。
「60〜64歳」は11%、「65〜69歳」は27%だった。何歳まで働くつもりかの平均値は18年(66.6歳)から1.8歳上がり68.4歳となった。
自分の将来のどのようなことに不安を感じるか複数回答で聞いた。「生活資金など経済面」が最多で70%に上った。18年から22年の調査は「健康」がトップで、入れ替わった。仕事を継続する選択にいたる背景の一つとみられる。
将来の生活に必要なお金の問題に備えてどのような取り組みをしているかも複数回答で質問した。1位は「預貯金」で61%、「保険、個人年金への加入」33%、「投資信託や株式などリスク資産への投資」22%が続いた。
(日本経済新聞 2月19日)
厚生年金の平均額は男子16万3380円、女子10万4686円。国民年金の平均額は男子5万9013円、女子5万4346円。厚生年金は高卒初任給より低く、国民年金は公共料金や保険の支払いでほぼ消えてしまうような金額である。
この金額を見れば、よほどの蓄財を保有しているか、相応の企業年金が加算されない限り、老後の経済不安は払しょくできないだろう。本来なら70歳以降は社会参加や社会貢献、あるいは健康維持を目的に働きつづけたくとも、実態は稼ぐために働きつづけざるを得ない層が多い。
40代ぐらいまでは60歳で引退したいと夢想していても、50代に入ると定年後の再雇用が現実的な選択肢に浮上し、60代に入ると70歳までの就労が不可避と考えるようになり、60代後半を迎えると、70歳以降も生涯現役で進むかどうかはともかく、健康なうちは働こうと引退を延期してゆく。
一方、リクルートマネジメントソリューションズの調査(回答・3708名)によると、50代後半(55~59歳)で70代以降も働きたいと考えている人は「今の仕事は会社や職場の成長・発展につながると思う」「この会社の理念やビジョンに共感している」「従業員が必要な能力やスキルを身につけるための、制度や仕組みが整っている」という動機をもっているという。
50代ではまだ老後の生活設計が切実な問題ではないのだろう。
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