2024/02/19
政府の関係閣僚会議が9日、外国人の「育成就労」制度創設を柱とする政府方針を決定した。最大の焦点となっていた転籍(転職)の要件は、就労から「1~2年」で決着。早期での転籍を可能にして人権侵害を防ぐ一方、業種に応じて延長できるようにすることで、「人権保障」と「人材の育成・確保」のバランスを取った形だ。
転籍が最大の焦点となった背景には、旧来の制度に対する反省がある。
現行の技能実習制度では、一部の受け入れ先で外国人実習生が暴行されるなどの人権侵害事案が相次いだ。その一因としてやり玉に上がったのが、やむを得ない場合を除いて転籍を原則、認めない制度の不備だった。
制度の抜本的見直しのために立ち上がった政府の有識者会議は、人権侵害を防ぐためにも転籍要件の緩和が必要だとして議論。昨年11月、同一機関で1年を超えて就労すれば原則、転籍を認める最終報告書を公表した。同一機関に1年間就労した労働者に退職の自由を認める労働基準法を念頭に置いたものだ。
(産経新聞 2月9日)
厚生労働省が発表した2023年10月末時点の外国人雇用の届出状況は、外国人労働者数は 204万8675 人。前年比 22万5950 人増加し、届出が義務化された07年以降、過去最高を更新した。
コロナ禍で来日がストップした反動もあるのか、増加のペースも加速して、対前年増加率は 12.4 %と前年の 5.5 %から 6.9 ポイント上昇した。外国人を雇用する事業所数は前年比6.7%増の 31万8775 所。届出義務化以降、過去最高を更新した。
政府は継続的な外国人労働者の大量受け入れによる社会像を多文化共生社会と定義しているが、その実態は移民社会である。移民政策導入の有無にかかわらず、多文化共生は移民との共生に他ならない。
就労育成制度の発足にさいしては、監理団体に対する監視が強化されるが、就労先と地域社会の関係のあり方も問われてくる。たんに地元のイベントに外国人労働者を参加させるという程度ではなく、日常の関わりが大事だろう。
共生という耳障りの良い言葉で糊塗するのではなく、要は軋轢が生じない関係をつくることである。
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