Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

東洋ゴム工業、社長含む常人取締役5人が辞任

東洋ゴム工業(大阪市)は23日、山本卓司社長(58)や信木明会長(60)ら常勤取締役5人全員が免震ゴムの性能を偽装した責任をとって辞任すると発表した。山本社長は大阪市内で会見し、「判断に甘さがあった。真摯(しんし)に反省している」とおわびした。再発を防ぐため、年内をめどにタイヤも含めた全事業の製品の品質を点検する。

取締役は、生え抜きの常勤5人と弁護士ら社外の3人の計8人いたが、偽装発覚後の5月末に社外の1人が辞めた。残る7人のうち5人も退く事態となる。

免震ゴムの性能を偽装した当時の社長だった信木会長ら3人は、7月1日付で辞める。山本社長は後任のめどをつけ、今秋にも別の1人とともに辞任する。経営陣は最大で役員報酬の50%を返上する。信木会長の後任は外部から招くことを考え、山本社長の後任は内部から選ぶ方針だ。
(朝日新聞デジタル 6月24日))

東洋ゴム工業の偽装問題について調査委員会が指摘したのは企業文化だった。P・F・ドラッカーは「カルチャーは戦略に勝る」と説いたが、企業文化の改善は業績向上に結びつく。健全な文化かどうかを把握するには、何を点検すればよいのか。

あらた監査法人がおもしろい点検事項をまとめているので、紹介しよう。
①明確かつ説得力のあるビジョンや価値観が存在し、何が期待されているかが組織内で理解されているか。②組織文化のどの部分を伸ばし、どの部分を変えるべきか。③組織のリーダー層は、組織の価値観にどこまで忠実か。それをどのように行動で示しているか。④従業員のビヘイビアは、組織のビジョンとどの程度整合しているか。ビヘイビアはどのようにモニタリングされ、違反した場合はどのように取り扱われているか。

この4つの項目だけでも、浸透するには数年を要するのではないか。東洋ゴム工業の偽装問題を機に企業文化がキーワードになれば、研修会社やコンサルティング会社には稼ぎ時だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。