労働力不足が深刻になるなか、活躍の場を広げたいのは女性や高齢者に限らない。産業構造の変化などを背景に、これまで培ってきた技能を発揮できる職務やポストが、社内で得にくくなってきたミドル社員もそうだ。
ミドルが別の企業に移りやすくする必要がある。彼らの力を社会全体で生かさなくてはならない。
いわゆる「社内失業」状態にある人は衰退産業を中心に現在200万~300万人に上るとされる。多くはミドル層とみられる。
バブル期入社の社員が50歳前後で大量にいる。同じく大量採用された団塊ジュニア世代はまだ40代前半だ。企業は成熟分野からの撤退を進めており、今後、余剰人員問題は深刻になる恐れがある。
一方で経験を重ねてきた人材へのニーズは高い。中小企業庁の調査では、中核となる人材が足りない中小企業は、研究開発・製造で57%、国内営業で51%ある。余剰な人材を必要な企業へ移す仕組みの整備が急務だ。
(日本経済新聞 5月19日)
ミドル層の社内失業社員に対して、リストラ部屋に配置して依願退職に追い込むなどの陰湿な手段は、違法性や企業倫理もさることながら次々に恨みを買うだけで、これほど愚かな人事はあるまい。
こうした企業では、経営幹部が経営再建に腐心しながら、同時に虐待の快楽に酔い痴れながら精神の均衡を保っている。人間の心に宿る悪業の虫がうごめいているのだ。
たとえ人本主義者といえども、何をきっかけに、社員を追い詰めないとも限らない。逸脱は紙一重である。
こうした人間の本性があるからこそ、ミドル層がセカンドキャリアに進める仕組みを整備しておいたほうがよい。縁を得てともに働いた者同士が、恨むのも、恨まれるのも、いかにも無意味である。
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