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静岡企業の女性管理職割合、8.7% 10%未満で横ばい

静岡県内の企業で働く女性管理職の割合が伸び悩んでいる。帝国データバンクがまとめた2023年の調査で、女性の管理職の割合は平均8.7%で、前年比0.6ポイント低下した。10%未満が続いており、政府が目指す「30%程度」には遠い。人手不足感が強まるなか、組織を支える女性管理職の登用や育成が急務だ。
7月に県内772社を対象に調査し、331社から回答を得た。回答率は42.9%。
自社における管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を聞いたところ、「全員男性」が51.1%で最も多く、「10%未満」が23.3%で続いた。女性管理職ゼロの割合は前回調査では50%の大台を割り込んだが、再び50%を上回った。
「10%以上20%未満」が6.9%で、「20%以上30%未満」が5.4%。政府目標を上回る「30%以上」は8.8%だった。10%以上の企業の割合も全体の約2割にとどまる。
30%以上の企業を業種別にみると、「農・林・水産」が50.0%で最も多く、「不動産」(33.3%)が続いた。規模別では「小規模企業」が18.8%で最も高い一方、「大企業」は4.5%にとどまった。人手不足感が強い業種や、新卒採用などで苦戦する小規模企業ほど女性登用が進んでいる様子が読み取れる。
(日本経済新聞 10月27日)

まだ女性取締役が誕生していない中堅商社の取締役に、女性起用の方針を尋ねてみた。この商社は未上場なので、政府がめざす女性管理職30%の縛りを受けないが、それでも企業規模は上場企業に匹敵する。
女性の中間管理職はいるが、その比率を上げ、女性取締役の起用も重点課題に位置づけているのだろう。そう想定して尋ねたのだが、女性にスポットを当てた幹部人事はあえて行っていないという。
「性別、年齢、経歴を問わず、評価されるべき人が評価されて、然るべき役職につくことが重要だと思う。女性取締役が何割、女性管理職が何割などの目標を設けても、その数値目標にしたがって昇進した人が納得するのか、幹部として仕事がしやすいのかは疑問だ」(同取締役)
さらにこんな見解を重ねた。
「管理職や取締役をめざしていない女性社員に数値目標を示して、昇進をめざすように促すことは不自然だと思う。女性に限ったことではないが、まず本人が幹部になることを望んでいるかどうかが肝心で、望んでいる社員にキャリア形成のチャンスを与えることがよいのではないだろうか」
ムードに左右されない現実的な見解である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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