経営再建中のシャープは5日、2016年度に165人の新卒採用をする計画を発表した。15年3月期に大幅な赤字に陥り、今春の採用数308人から半減させる。45歳以上を対象に3500人の希望退職を募る計画だが、新事業を伸ばすために若手は採用する。
採用数の内訳は、本社などで働く大学・高専卒135人、地方の工場などで勤める短大・高卒30人。15年3月期の純損益が2223億円の赤字となったため、前年よりも大きく減らす。
シャープは経営難に陥ったため、若手や中堅社員の退職が広がるなど、人材流出が続いている。このため、希望退職の募集もこうした世代を対象から外している。新卒採用も続けることで、医療や環境の分野の新事業を伸ばし、経営再建を担う人材を確保する。
シャープの採用数は91年度の2441人が最も多かった。単体の売上高が1兆円を超えるなど、好業績が続いていた。しかし、09年度の1259人以降は減り続け、13年度は91人と過去最低だった。
(朝日新聞デジタル 6月5日)
この時期のシャープに入社することは逆張りの発想といえなくもない。雇用情勢が良好な時期にあえて修羅場を選び、社会の不条理を体験すれば、何かしらの糧にはなるだろう。
のるかそるかのベンチャー企業に就職したつもりで奮闘することを期待したい。
一方で、新入社員に対する経営陣の覚悟はどうだろう。雇うということは人生を預かることである。新陳代謝の必要性はわかるが、(新入社員を不幸な目に遭わせない)という決死の覚悟を固めたうえでの採用なのかどうか。
希望退職の実施で多くの社員の人生設計を狂わせたことと、新卒採用の実施に整合性のある説明も必要だ。雇用の方針を明確にしないと、この時期だからこそ必要な求心力は働かない。
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