2023/08/25
コロナ禍の収束による、企業のオフィス回帰が加速している。日本生産性本部がまとめたテレワーク意識調査で、直近1週間の出勤日数が3日以上と回答した割合が管理職で全体の52・9%、一般社員(テレワーカー)で45・5%と多かった。労使間でテレワーク継続意欲に温度差があり、会社側が今後出社要請の“圧力”を強めることで従業員の不満が高まる可能性がある。ポストコロナの働き方改革において新たな課題となりそうだ。
日本生産性本部が初めて実施した「テレワークに関する意識調査」は一般社員と、一般社員を部下に持つ管理職をそれぞれ1000人対象にした。調査期間は5月29日から6月6日まで。長田亮主任研究員は「感染症法上の位置付けが5類に移行したこともあり、それぞれの会社にとってベター・ベストな働き方として出社の方が効率が高いという判断によりテレワークの実施率が低下している」とオフィス回帰を分析した。
今後もテレワークを行いたいかを問う質問について、「そう思う」と答えた一般社員は55・9%と高いが、管理職は41・5%だった。日本でテレワークが今よりも広がっていくと回答した割合も一般社員が20・6%なのに対して、管理職は13・9%とやや懐疑的な見方が強いようだ。
(ニュースイッチ 8月15日)
ブラックジョークのようなニュースが目についた。8月10日付け日本経済新聞によると、
ビデオ会議システムの米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが、自社オフィスから50マイル(約80キロメートル)以内に住む従業員に対して週2日の出社を求めた
同社は世界で7000人強の従業員を雇用し、大半にリモートワークを認めてきた。みずから率先してリモートワークを実践することは「Zoom」の見本でもある。リモートワークを主導してきた企業が、週2日を対面業務に戻すのは、それだけ対面が不可欠なのである。
製造業など現業部門を抱える企業では、現場で現物を見て現実を把握するという三現主義が経営の定石だが、IT企業ではオフィスが現場で、社員は現物である。完全リモートでは現場と現物が見えず、現実を把握できない。
日数の頻度はともかく、出社しないと経営陣も社員も自社の現実を把握できない。これは人事評価にもマイナスだ。過剰な成果主義の抑制措置として、理念に即した行動をとっているかどうかを人事評価の対象にする企業が多いが、社員の行動はリモートではほとんど確認できない。
出社とリモートの組み合わせを講じる以外にないだろう。
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