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九州・沖縄の企業のM&A、22年度最多…後継者不足で譲渡相次ぐ

九州・沖縄の企業が2022年度に関わった合併・買収(M&A)が前年度比9%増の233件と過去最多だったことが、M&A助言会社レコフ(東京)のまとめでわかった。レコフ側は、人口減による後継者不足が深刻化する中、事業継続に向けて譲渡に踏み切る企業が相次いだのが主な理由とみている。
 譲渡側や買収側が九州・沖縄の企業だった事例を集計した。譲渡側となったケースでは、建設業で事業承継を目的としたM&Aが目立った。機械や電機などの製造業では、開発力を持つ新興企業に対して大手メーカーや投資会社が資金を投じるケースも増加傾向だったという。
 買収側の場合は、事業領域の拡大を図るM&Aが卸売業や小売業などで増えた。M&Aの金額は全体で3026億円だった。
 M&Aの件数はコロナ禍の20年度に落ち込んだ後、2年連続で伸びた。レコフのグループ会社で、M&A仲介を手がけるM&Aキャピタルパートナーズの中島千也氏は「物価高や円安などの影響で企業業績への不透明感がくすぶっており、23年度の件数はマイナスに転じる可能性もある」と分析している。
(読売新聞オンライン 7月12日)

M&Aは最適な相手先との最適な形態の経営統合もさることながら、M&A後の買収後の統合作業であるPMI(Post Merger Integration)が成否のカギを握っている。
 M&A後の統合作業は、手続きでは①株主総会と取締役会を開いて役員変更②リース契約・賃貸借契約・金銭消費貸借契約の名義変更・経営者保証解除など、実務上の手続き③
振込先口座の変更④売掛金の入金および買掛金の出金清算⑤経理業務・人事制度・社内規定の統合⑥情報システムの統合――などだが、キモはデューデリジェンスで明らかになった課題の解決や、買収側の経営理念を浸透させることである。
 PMIでは、M&Aアドバイザー会社やPMIコンサルティング会社は、100日間で実施する「TO-DOリスト」を作って、優先順位を付けてスケジュール化する「100日プラン」を策定して実行に入る。
 だが、M&Aコンサルタントは「M&Aにビジネスライクに対応できる欧米企業と違い、情緒が大きなウエイトを占める日本企業の場合、100日では手続きの統合が進まないことが多い」と指摘する。
 暗礁に乗り上げがちなのは情報システムの統合で、システム会社の変更に対して抵抗勢力が生まれ、統合が遅々として進まないケースが少なくないという。このコンサルタントによると「人事の統合も人間関係を融合させるには100日では難しい。10倍の1000日プランが必要だ」という。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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