2023/05/22
外国人技能実習制度などの見直しを検討する政府有識者会議の田中明彦座長(国際協力機構理事長)は11日、同制度廃止と「人材確保」に重点を置いた新制度創設を求める中間報告書を斎藤健法相に提出した。
報告書は、勤務先変更を原則認めない現行制度の「転籍制限」を緩和することや、職場での人権侵害を救済する仕組みの導入を盛り込んだ。有識者会議は新制度の詳細をさらに議論し、今秋の最終報告策定を目指す。
(時事通信 5月11日)
中間報告書は「制度の存続可否も含めた議論をすべきである」と実習制度の廃止も示唆している。論点のひとつは転籍の可否だが、どうも歯切れが悪い。報告書は述べている。
「人材育成そのものを制度趣旨とすることに由来する転籍制限は残しつつも、制度目的に人材確保を位置付けることから、労働者としての権利性をより高め、また、制度趣旨及び対象となる外国人の保護を図る観点から、従来よりも転籍制限を緩和する方向で検討すべきである」
転籍制限を撤廃するのではなく、緩和という表現にとどめた。当然、受け入れ事業者にとっては、来日コストや育成コストが未回収のまま転籍されたら、そもそも制度を利用した意味がなくなる。そんな事態が頻発すれば、産業界全体に受け入れ意欲が低下するムードが蔓延しかねない。
有識者会議はこの事態を懸念して「転籍制限は残しつつ」「緩和する方向」と報告したのだろうが、今後の議論を経て最終報告書にはどう整理されるのか。
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