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国が来春、公務員にフレックス制を導入

150424

政府は20万人程度の国家公務員を対象に、個人が働く時間を柔軟に選べるフレックスタイム制を、来年4月に導入する方針だ。日本企業のフレックス制導入は、政府が成長戦略の核と位置づける「働き方改革」の柱の一つ。国が率先して導入し、裾野を広げる。
現在のフレックス制は一般に「コアタイム」と呼ばれる出社を義務付ける時間を設定したうえで、出社・退勤の時間を自由に決める仕組み。子育て世帯なども働きやすくなるメリットがある。
人事院が夏にフレックス制の対象拡大を内閣と国会に勧告。これを踏まえ政府が「勤務時間法」の改正案を秋の臨時国会に提出する見通しだ。
現在、フレックス制で働ける国家公務員は研究職や専門職などに限られ、2013年4月時点で約1200人。法改正後は自衛隊員などを除く20万人以上が使えるようになる。国家公務員の労働時間は原則として1日7時間45分、1週間で38時間45分と定められているが、同法改正後は大幅に緩和される。正午前後の「コアタイム」を設定したうえで、働く時間を選べるようになる方向だ。
政府は今回の取り組みに並行して民間企業がフレックス制を導入しやすくする労働基準法の改正案を今国会に提出した。
働く時間を従来の月ごとではなく3カ月単位で区切り、その範囲で労働時間の帳尻が合えば、残業代が原則発生しない仕組み。企業・従業員ともに使い勝手がよくなる。
法改正に合わせて国家公務員が導入することにより、官民一体でフレックス制の浸透を目指す。6月にまとめる政府の成長戦略にも盛り込む。
厚生労働省のアンケート調査(4271社が回答)によると、フレックス制を採用している企業は14年1月時点で5・3%にとどまる。
1000人以上の大企業では27・7%が採用しているが、30~99人の中小企業では3・2%にすぎない。
(日本経済新聞 4月21日)

フレックス制度は、働く人が出社・退勤の時刻を自由に選べる制度だ。一定期間の労働時間を決めて、それを各就労日に自由に割り振る。長く働く日や短く働く日があっても構わない。一定期間の労働時間の合計が合っていればよい。

現行法では、この一定期間は1か月だが、政府の改正案では、これを3か月に伸ばしている。繁忙期には1日の労働時間を長くし、暇な時期には短くするなど、より柔軟な調節が可能となる。確定申告の時期に極端な繁忙状態になる税務署や国会会期中は国会対応に追われて深夜残業を強いられる中央官庁のような職場には朗報だ。

働き方改革の柱としてフレックス制導入を位置づけておきながら、国家公務員自身がフレクッス制を使っていないという矛盾した状態が続いていたが、今回の法改正を契機として、地方公務員も含めた公務員全体へのフレックス制の浸透が加速するだろう。

フレックス制は、働き方の多様化を促進し、家庭の事情などで正社員として働くことが難しい人々にも労働市場への参加を可能にする制度だ。今後の官民での普及に期待したい。

一方、職場によっては、フレックス制を導入していても、毎朝、朝礼をしようと言い出す年配の管理職もいたりする。働き方を変えるには、制度だけでなく意識の改革も必要だ。

谷萩 祐之

著者情報:
谷萩 祐之

1958年生まれ、早稲田大学理工学部数学科卒。富士通株式会社でソフトウェア事業、マルチメディア事業、グローバル事業、コンサルティング事業を担当した後、現在、谷萩ビジネスコンサルティング代表。経営コンサルティングの傍ら、雑誌等で執筆活動を続ける。著書:「Webが変わる プッシュ型インターネット技術入門 」

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