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東芝、副業の本格解禁検討 試行3年で2.5倍の150人

東芝が国内で働く従業員の副業について、制度化してグループ全体で認めることを検討する。2020年度から本社などに対象を絞って、試験的に実施してきた。体験者やその上司からは肯定的な声が出ており、柔軟な働き方を認めて、従業員の技能向上や優秀な人材の獲得につなげる。
9月時点で副業をしているグループ従業員は約150人で、20年度と比べて約2.5倍になった。認めているのは「自営・経営型」と呼ばれる形式で、個人事業主やフリーランスとして請負・委任契約などで収入を得る。他の企業と雇用契約を結ぶ形式などは認めていない。(日本経済新聞 12月10日)

 副業解禁を検討するプロセスはなかなか社外からは見えないが、東芝の製品・サービスを紹介するサイト「Toshiba Clip」にその一端が開示されている。
東芝は2020年から副業を認める仕組みを運用しているが、この運用をグループの中で先駆けて始めた東芝デジタルソリューションの人事総務部人事企画担当スペシャリスト・渡辺真亜知氏は次のように振り返る。
「副業はその特性から、一人ひとりへの対応を必要とします。その前提で副業トライアルの枠組みを作る中で、想定される課題の洗い出しに苦労しました。また、副業を認めることに疑問を持つ人は一定数いて、『なぜやるのか』と、やることのメリットを丁寧に説明し、マインドセットを変えていくのも大変でした」
 副業禁止という文化のなかで働いてくれば、副業解禁に違和感を禁じ得ないのはやむを得ない。
渡辺氏は、社内の有志勉強会メンバーからのヒアリングや社内アンケートを実施し、副業を容認している他社へのヒアリングも行いながら、東芝と連携して仕組みづくりを進めた。初年度には年間の約60名の申請があったという。副業の内容は、資格やスキルを生かしたもの、業務経験や知識を生かしたもの、趣味から派生したものなど。
目的の多くはスキルアップや自己実現のためで、約8割が達成できているという。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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