Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

10月の実質賃金、2.6%減 7年4カ月ぶりの減少幅、物価高騰で

厚生労働省が6日発表した10月分の毎月勤労統計調査(速報)で、物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年同月より2・6%減った。7カ月連続の減少で、減少幅は7年4カ月ぶりの大きさとなった。「名目賃金」にあたる現金給与総額は増えたが、物価上昇率が大きく上回ったためだ。  

パートを含む働き手1人あたりの現金給与総額は同1・8%増の27万5888円と、10カ月連続で増えた。  

だが実質賃金の計算に使う消費者物価の指数が同4・4%増と、消費増税があった直後の2014年5、6月以来の伸び率となった。  

その結果、実質賃金は、賞与など「特別に支払われた給与」が大きく減った15年6月(同2・8%減)以来の減少幅となった。  

コロナ禍を受け、20年は名目賃金、実質賃金ともに前年比で1・2%減った。21年は名目が0・3%増、実質も0・6%増とやや回復。だが22年に入ってからは名目賃金は前年同月比1~2%程度の比較的大きな伸びとなっているものの、4月以降は物価高に追いつかず、実質賃金の減少が続いている。(朝日新聞デジタル 12月6日)

さる12月9日に支給された国家公務員の冬のボーナスは、管理職を除く一般行政職(平均年齢33.8歳)の平均支給額が65万2100円。前年冬より500円増加した。8月の人事院勧告に基づき年間の支給月数が0.1カ月引き上げられたので、0.1%のプラスとなった。

 地方公務員のボーナスも軒並み前年比増である。たとえばテレビ金沢によると、石川県の一般職の平均支給額は、72万円あまりで去年より4.1%(約3万1000円)減額だったが、県人事委員会では年間0.1か月分の引き上げを勧告していたことから、議会の承認が得られれば差額が追加支給される見込みだ。

 ただ、電気料金が値上がりしているにもかかわらず、さらに各電力各社が平均3割の値上げを政府に申請するそうだ。賃上げを上回る勢いで値上げがつづいている。実質賃金の減少に歯止めをかけるために、値上げにペースを合わせて賃上げを実施すれば、人件費が高騰してしまう。

ひとたび引き上げた賃金を引き下げることは難しい。インフレ手当という弾力的な手段で生活防衛をサポートすることが現実的だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。