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理想の賃金にあと100万円、正社員の4割が、賃金が「低すぎる」

20代~50代の正社員1200人(内訳:20代、30代、40代、50代の正社員各300人)に、今の年収は見合っていると思うか聞いたところ、約4割が「低すぎる」と回答しました。また、正社員年収の理想と現実のギャップは約100万円だったことが分かったそうです。
株式会社マイナビが運営する総合転職情報サイト「マイナビ転職」が2022年9月~10月に「正社員の賃金上昇実態と生活満足度調査」と題して実施した調査です。
はじめに、現在の年収を聞いたところ、全体では「300~500万円未満」が40.0%と最も多く、「500~700万円未満」(23.5%)、「300万円未満」(15.7%)と続き、中央値は450万円でした。
年代別に見ると、20代・30代・40代では「300~500万円未満」(20代:51.7%、30代:46.3%、40代:37.0%)が最も多く、50代では「500~700万円未満」(26.3%)が最多になりました。中央値は、20代は350万円、30代は425万円、40代は500万円、50代は600万円という結果に。
年収は見合っていると思うか聞いたところ、自身の年収が「低すぎる」と回答した人は43.0%で、「妥当」は33.3%でした。(まいどなニュース 11月18日)

厚生労働省の調査によると、100人以上を雇う民間企業2020社のうち、今年「平均賃金を引き上げた」または「引き上げる」と回答した企業は85.7%。去年の80.7%に比べて5%増えたにすぎない。
賃上げやインフレ手当支給のニュースは大手企業の事例で、中小零細企業にとって時流に合わせた賃上げは容易でない。原材料価格の高騰を納入価格に反映させるには、納入先との力関係がモノをいう。納入先にとって不可欠の仕入先でない限り、納入価格はほとんど据え置かれたままで賃上げの原資を確保できない。
 一方、賃上げ動向を業種別にみると、 新型コロナのダメージからの回復を急ぐ「宿泊・飲食サービス業」のうち7割以上が賃上げし、去年より大幅に増えた。全体では、ひと月5534円の賃上げが行なわれて、去年より840円増えたが、それでも希望する年間100万円増には遠く及ばない。
 もっとも100万円増はあくまで理想にすぎず、希望ではない。労働分配率を50%と仮定すると、100万円の賃上げには1人当たりの売上総利益を200万円アップさせなければならない。その見通しがつく企業なら社員の理想をかなえられる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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