2022/11/18
日本企業の社長の平均年齢は60.3歳――。帝国データバンクによる2021年の調査だ。1990年から31年連続の上昇となった。90年当時の平均は54歳だったから、この間に6歳あまり社長の高齢化が進んだことになる。 世界の主要企業を対象にしたPwCストラテジー&の「2018年CEO承継調査」でも、日本は高齢化が際立つ。新任CEOの中央年齢は60歳で、53歳の世界平均よりも7歳年長だった。 グローバル競争に多くの企業が身を置く。ではその世界の人口構成をみるとどうか。総務省のまとめた統計によると、20年時点で世界中の中位年齢は30・9歳。つまり「30歳年下」の市場を狙って陣頭指揮をとっているのが日本だ。 技術革新の速度は極めて早く、消費者の志向も世代が変われば大きく異なる。世界はデジタルネーティブ世代がもう経済・社会の中核になっている。立ち止まっていては次の世代の心はつかめていない。(日本経済新聞 10月10日)
後任の経営者候補が不在なのか、まだまだ現役をつづけたいのか。このふたつが錯綜しているのだろうが、社員の定年延長が進めば、経営者の退任も先延ばしになるのは必然だ。 職業人の高齢化は高齢者を支える医療従事者にもおよんでいる。厚生労働省が公表した「2020年医師・歯科医師・薬剤師統計」を見ると、医師の平均年齢は、医育機関附属病院(大学病院など)こそ39.3歳だが、病院は47.2歳、診療所に至っては60.2歳と還暦を超えた。 『令和4年版厚生労働白書』は「在宅患者数は多くの地域で今後増加し、2040年以降には全国での在宅患者数がピークを迎えることが見込まれている」と述べているが、在宅ケアの主戦力である診療所医師は、訪問診療に必須のフットワークが体力的に鈍化しつつある。 58歳の在宅医療専門医は「患者さんの病態が急変したという連絡が入れば、夜中の2時でも車のエンジンをかけて診察に出かけている。そう遠くない時期に体力の限界が来るだろう」と打ち明ける。 医師だけではない。在宅患者宅への訪問頻度が医師以上に多い訪問看護師も、同様に高齢化しているのだ。「令和2年度衛生行政報告例」によると、管理者の年齢が55歳以上の訪問看護ステーションは約3.5割を占め、従事者の年齢は50歳以上が約3.5割を占めている。
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