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NEC、さらば役職定年 50代後半「消化試合」にしない

55歳前後で管理職から外す「役職定年」制度を廃止する企業が増えている。組織の新陳代謝と人件費抑制を狙った制度だが、年収も平均2割減り意欲を失う人材は多い。労働力人口が減っていくなか、本当の定年まで「消化試合の5年」となってしまうのは本人にとっても会社にとっても不幸だ。NECは実力主義で約1000人を管理職に復帰させ、シニアの力を生かす。
(中略)
 労働行政研究所の2022年の調査では29・1%の企業が導入しており、課長は55歳、部長は58歳での線引きが最多だ。法政大学とパーソル総合研究所の17年の調査では、年収は平均で23・4%もダウンしている。
 仕事と収入が激変し、モチベーション維持や生活設計の見直しが必要な節目だが、多くの働き手は「現実的な準備をせず『見て見ぬふり』をしている」とパーソル総合研究所の小林祐児・上席主任研究員は指摘する。(日本経済新聞 11月9日)

 60歳定年なら50代後半で定年まで数年。年収が平均で23・4%ダウンしても、役職の重圧から解放され、定年までをクールダウンの期間と割り切って淡々と送ってもよいのではないか。年収が下がった分だけ楽をすればよいのだ。
かつての部下が今度は上司になるが、役職の上下は人物の上下ではない。あえていれば映画やドラマの主役と脇役の関係のようなものだから、シナリオが変更されたと割り切ればよい。
だが、このように考えるタイプの社員はそもそも役職に就けず、早々と窓際族に転じてしまうのだろう。
10年近く前にさかのぼるが、中堅企業のオーナー社長に、中高年の赤字社員をどう処遇すればよいのかを尋ねたことがある。再教育をして戦力化するのか、それとも依願退職を促すのか。社長の答えは意外だった。
「働きの悪い社員が少しぐらい残っていても構わない。枯れ木も山の賑わいというが、会社経営も同じだ」
 しかし意欲的な55歳は枯れ木になることは望まず、あくまで生木でありつづけたいと第一線に向かうのである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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