2022/11/04
三井住友信託銀行はコーポレートガバナンスへの対応状況の実態調査『役員報酬 サーベイ(2022 年度版)』を実施した。
上場企業において、全取締役に占める社外取締役の人数割合を 1/3 以上確保している企業は 77.3%と 前年より 13 ポイント増加した。プライム上場企業における社外取締役の報酬総額水準は、中央値で 840 万 円となっており、東証一部時代を含めて 5 年連続で上昇傾向にある。また、自社以外に 3 社以上兼務していると回答した社外取締役は、22.1%(455 人)であり、コーポレートガバナンス・コードの要請に基づいた社外 取締役への役割期待の高まり及び獲得の激化傾向は、継続している。一方、上場企業において、社外取締役の人材プールを確保していると回答した企業は、わずか 3.0%(31 社)となっており、社外取締役人材の確保・育成は喫緊の課題であるといえる。
全取締役に占める社外取締役の人数割合を 1/3 以上確保している企業は 77.3%であった。一人の社外 取締役の兼務社数 3 社以上(自社以外)は全体の 22%で、社外取締役人材の獲得と共に「質」の確保が 課題である。(三井住友信託銀行作成プレスリリースを要約 10月27日)
東京証券取引所のコーポレートガバナンス・コードには、社外取締役について次のように規定されている。
<独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、 プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである>
2022年7月14日時点で、2名以上の独立社外取締役を選任する上場企業の比率は、プライム市場が9.2% (前年比(2.2ポイント増)、JPX日経400が99.5% (前年比0.5ポイント増)。上場企業はほぼ導入している。
報酬額の多寡はともかく、いま問われているのはどこまで役に立っているのかどうか。
経済産業省が19年に東証一部・二部の全社外取締役を対象に実施した調査では、社外取締役の役割として多かった項目は「経営計画・戦略の策定への関与」「コンプライアンス・不祥事対応への関与」で、「経営陣の指名・報酬プロセスへの関与」が少なかった。
KADOKAWAの社外取締役は五輪汚職にどう対応しているのか。三菱電機の社外取締役は不正検査問題にどう対応しているのか。「助言」ではなく「関与」なのだから情報開示が必要だろう。
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