2022/10/25
中途退職した「元社員」とオンラインでつながり続ける企業が増えている。IHIや日立製作所子会社などが続々交流サイトを立ち上げた。転職が珍しくなくなり専門人材の不足も強まるなか、元社員の再入社や協業につなげる狙いだ。元社員の組織化を支援するサービスも急拡大している。終身雇用が根強い日本の働き手のキャリアの多様化を後押ししそうだ。
IHIは今夏、専用サイトを開設した。技術・開発部門出身の元社員らに呼びかけ約20人が登録した。最近の事業の状況や社内で募集中のポスト、現役社員と交流できるイベントなどの情報を配信する。元社員に副業などの形での協業を呼びかけ、将来的な再入社の機会も探る。年内に募集対象を全部門の元社員に拡大する方針だ。
近年、デジタル分野のサービスなど新規事業に力を入れており、社外経験のある元社員の持つ経験やノウハウへの期待は大きいという。(日本経済新聞 10月14日)
退職した社員を再雇用するアルムナイ制度は、中途採用のミスマッチを防げるだけでなく、他社の知見を導入して“組織視野”を拡大するうえで有効である。その普及を促すためにアワードまで登場した。
昨年から開催されている「ジャパン・アルムナイ・アワード」(主催・ジャパン・アルムナイ・アワード実行委員会)。今年はみずほフィナンシャルグループがグランプリを受賞した。
同グループは「退職で関係が終わることを大きな損失」ととらえ、「5ヵ年経営計画」に基づいて、グループ5社(みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券、みずほリサーチ&テクノロジーズ)の中途退職者を対象としたアルムナイネットワークを設立。 人事担当役員とアルムナイの対談も実現している。
社員からは「みずほの強みについて新たな気付きを得た」「アルムナイネットワークが社員のみずほの魅力認識向上や良質な人材獲得に寄与する」などの意見を得たという。
この取り組みについて、実行委員会は①「5ヵ年経営計画」との連動、企業風土改革に役立てている等のビジネスインパクトが期待できる②大きな金融企業のため動かすことの難しさが想定されるなかで、グループ横断で取り組み、役員もコミットしている③アルムナイの期待に応えつつ、社員も巻き込んだ形での具体的な活動を行い、型をつくり取り組んでいる――などを評価した。
いずれ補助金制度なども創設されるのではないだろうか。
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