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企業の役員報酬に「社会貢献」反映 日立やデンソー

企業の役員報酬に「社会貢献」を反映する動きが広がっている。2022年度は日立製作所が労働環境などの改善で、デンソーが女性や外国人登用の取り組みの成果で報酬額を変える。人材の多様化など社会貢献につながるテーマは環境問題と並んで投資家の関心が高い。日本企業は欧米に比べて出遅れており、経営陣の意識を変えて企業価値の向上を狙う。
日立は全執行役の報酬の評価項目に社会関連を加えた。事故など労働災害の防止や従業員の満足度改善などだ。役員報酬の3分の1が業績など短期的な成果に連動する。
ESG(環境・社会・企業統治)への対応の成果はそのうちの一部に反映する。21年度には環境対策を加えている。
デンソーも役員報酬の5~6割を占める業績連動部分のうち1割分でサステナビリティー(持続可能性)への取り組みの成果で報酬額を変える。女性管理職数などの数値が対象だ。日産自動車も21年度から児童就労や強制労働などの人権対応を報酬の評価に加えた。(日本経済新聞 10月12日)

野村アセットマネジメントの「脱炭素ジャパン」は、国内株式から脱炭素への貢献が期待される投資先を選定し、企業の競争力や成長性、バリュエーション評価等を総合的に勘案して投資する。同じく同社の「NF・日本株女性活躍ETF」は、MSCI日本株女性活躍指数に連動する投資成果をめざす。
SOMPOアセットマネジメントの「損保ジャパンSRIオープン」は、SOMPO リスクマネジメントによる企業調査結果をもとに「ESG(環境、社会、ガバナンス)」 の観点から優れた企業を投資候補銘柄群に選定している。
ESGファンドに投資マネーが流れ込み、ESG投資が定着した。役員は株主から経営を委任される立場だから、投資対象企業の役員報酬にESG貢献が評価事項として盛り込まれるのは必然の流れである。
ESG項目にどうコミットして、どんな成果を上げたのか。この評価を役員だけでなく、社員にも適用すれば、あえて社会貢献活動を行わなくとも、本業がそのまま社会貢献に結びつく。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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