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三菱地所、全社員にデータ分析教育 役員含め1万人対象

三菱地所がグループ全社員1万人を対象に新たなデジタル教育に乗り出す。データ分析の手法などを学ぶ約15時間の講座受講を必修とし、優秀な人材を選抜してマーケティングに生かせるデジタル技術を教える。経験に頼らず、データを生かした顧客への提案で効率的な営業に転換する。外資との競争が激しくなる中、デジタルトランスフォーメーション(DX)が遅れる不動産業界でも人材育成が本格化する。
三菱地所がグループ全社員.に専門人材の育成プログラムを設けるのは初めて。グループ全社員にデータ分析の手法を長時間かけて学ばせるのは産業界でも珍しい。
9月中に教育プログラムを順次始める。外部のデジタル関連企業なども交えてプログラムを作成し、まずはデジタルマーケティングの基礎知識を他の業界の事例とともに学んでもらう。その後、検索エンジンの最適化(SEO)対策やSNS(交流サイト)の分析など、データを使ったマーケティング手法も学ぶ。
新入社員から社長を含む役員まで約1万人を対象とする。(日本経済新聞 9月26日)

IT人材が大幅に不足するというデータがある。経済産業省の推計によると、2019年をピークにIT関連産業 への入職者は退職者を下回り、IT人材は減少に向かう。また、IT人材の平均年齢は30年まで上昇の一途をたどり、高齢化することも予想される。
こうした背景のなかで、IT 需要予測から推計されるIT人材需要との需給ギャップから30年までのIT人材の不足数を推計すると、労働集約業態になっている日本のIT人材の低生産性を前提とすれば、将来的に40~80 万人の規模で不足が生じる懸念があるという。
もはや”非IT人材”をIT人材に転換させる以外にない。
経産省はこの問題を解決するポイントとして①経営者のデジタル理解度やDXの必要性に対する認識を高める②各企業のDXに向けた経営戦略・ビジョンの具体化、取組計画・体制の具体化を促進・加速③従来型ビジネスへの依存度を弱め、デジタルビジネス・サービスの創出を促進する④スキル・能力の見える化などとあわせて、企業内でのリスキリングをもっと促進する。
三菱地所グループの取り組みは、上記のポイントを一気に解決する内容だ。リスキリングによる社員のIT人材化は、多くの企業にとって当面の最重要課題である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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