2022/09/07
三井住友海上火災保険は9月、中途退職者を集めた「アルムナイ(卒業生)」ネットワークを設立する。2022年度内にも若手の退職者を中心に約300人を集め、定期的に交流会を開く。これまで心理的な抵抗感が強かった再入社を増やすほか、転職先のスタートアップ企業などと協業を探る。退職者との関係を保ち経営に生かす狙いだ。
年間50人規模の中途採用を計画しており、このうち年数十人を再入社で獲得する考えだ。金融業界ではみずほフィナンシャルグループが会社主催で退職者とみずほが交流するSNS(交流サイト)を用意している。三井住友海上はアルムナイを再入社の候補者と明確に位置づける動きは珍しい。(日本経済新聞 8月30日)
退職者や離職者を再雇用するアルムナイ制度の導入が増えているのは、おもに中途採用のミスマッチを回避したいからだ。
中途採用者の保有スキルが要求水準をクリヤしていても、社風に適応できなければ成果を出せず、やがて退職してしまう。社風に適応できるかどうかは肌感覚にも由来するので、本人でないとわからない。上司との相性にも左右される。
その点、元社員ならミスマッチのリスクが大きく低下する。経団連もアルムナイ採用を後押しして、2022年3月に発表した「スタートアップ躍進ビジョン」に盛り込んだ。
「カムバック・アルムナイ採用」の導入は、スタートアップの世界に挑戦する優秀な人材が「一度辞めても復帰できる」という安心感を得ることができ、スタートアップへの転職や起業にチャレンジする心理的・経済的ハードルを引き下げる効果が期待できるという。
そのうえで<送り出した企業にとっても、社外で様々な経験を積んで戻ってきた社員は、自社の事情を知りつつ、多様性も生み出す効果が見込まれるため、活躍の場を与えることが重要である>と提言する。
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