中国拠点の撤退を決めた日本企業が、現地従業員への対応に頭を悩ませている。解雇を巡り、従業員とトラブルになったケースも出た。かつて「世界の工場」と言われた中国だが、人件費が急騰しており、進出した製造業は他の新興国に生産拠点を移しつつある。ただ、従業員の解雇などを伴う撤退は「進出時以上に多大な労力がかかる」(日本企業幹部)のが実態だ。
中国・広州にあるシチズンホールディングスの現地子会社が2月5日、翌日の会社解散と従業員の全員解雇を通告し、約1000人の従業員が抗議する騒ぎが起きた。1997年から腕時計の部品などを製造してきたが、国際的な事業再編の一環で閉鎖を決めた。
中国では通常の解雇は1カ月前の通知が義務付けられているが、会社解散の場合は通知義務がない。同社は「地元当局と協議したうえでの措置で、手続きに違法性はない」としているが、中国国内では「法的に問題なくても従業員に重要な情報を隠していた」(新華社通信)などと批判的な報道が相次いだ。シチズンは最終的に、解雇時に支払う補償金を上積みして、事態を収束させた。(毎日新聞 3月1日)
チャイナリスクとは言い換えれば“チャイナコスト”である。中国に事業所を開設する際には、撤退コストを精査しておくことが現実的だ。撤退を前提にした進出とは不自然だが、ここまでリスクが甚大であれば、冷徹に考えざるをえないだろう。
中国を世界最大の消費地と見る中小・ベンチャー企業には、ネット通販によって対中国ビジネスに慣れながら進出機会を模索したり、爆買ツアーが例外としても、訪日中国人観光客のメイドインジャパン需要を取り込む方策に出る例が増えているという。
日本にいながらにして中国の消費需要を吸収しようという意図だ。業種にもよるが、このほうが安全で確実のように思う。
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