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ノジマ、物価対策で手当 月1万円、年度内は継続

家電量販大手のノジマは従業員の物価高対策として、毎月1万円の特別手当の支給を始めた。部長級以上の社員以外となる、約3000人の従業員(契約社員を含む)が対象となる。食品や電気代など生活に関連する商品・サービスの価格が上昇するなか、手当の支給を通じて従業員が安心して働けるようにしたい考えだ。
名称は「物価上昇応援手当」で、7月15日支給の6月度分の給与から導入した。2022年度内は継続して支給し、23年度以降についても続ける法王で検討している。ノジマの直近の平均年間給与は469万円だった。賃金面で従業員の生活を下支えすることで、人材流出の回避にもつなげる。
同社は、メーカーの派遣販売員に頼らず、自社の従業員による接客を特徴としており、人材の流出は販売力の低下に直結するリスクがある。これまでも人材のつなぎ留めとして、不妊治療にかかる費用を負担したり、ひとり親家庭に手当を支給したりと、福利厚生を充実させてきた。(日本経済新聞 7月23日)

ノジマ平均年間給与は469万円だから、けっして高水準ではないが、社員のプライベートに相当配慮しているようだ。
同社ホームページによると、希望する勤務地域への配属率は100%である。さらに配偶者の世話もし、ノジマグループの従業員を対象とした社内婚活イベント「NOJIKON」を開催している。
その後のライフステージもサポートして、ノジマの従業員同士で結婚した夫婦には、夫婦両方がノジマに勤めている間、それぞれに毎月5000 円(世帯で毎月 1 万円)の「夫婦手当」を支給。不妊治療の補助金制度として、夫婦両方もしくはどちらかが不妊治療を行う際にかかる実費に対して上限 60 万円を3年間を上限に負担する。
さらに学業支援制度として、従業員の子どもが高校、専門学校、短期大学または大学に入学した際に最低 30 万円~最大 100 万円を支給している。
ここまで面倒をみてもらったら、会社に尽くそうというという心理が働くはずで、物価対策手当も社員の心に刺さるのではないだろうか。
物価対策には自治体も乗り出した。東大阪市は「子育て課税世帯物価高騰対策給付金」を支給する。非課税の子育て世帯は国の施策による給付金の対象となることから、東大阪市は、子育て課税世帯に対して、支援対策として対象児童1人当たり一律3万円を支給する。
企業も自治体も、物価対策の手当・給付金の支給など半年前には想像すらしなかったはずだ。物価が沈静化すれば休止するのだろうが、ふたたび物価高になれば、前例に従って支給を決断するのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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