2022/07/29
日本航空が2025年度までに、従業員約3000人を格安航空会社(LCC)やマイル事業などの成長分野に振り向けることが分かった。コロナ禍に伴う旅客減に苦しんだJALブランドに大きく依存しない事業構成に転換し、国際線LCCや非航空事業で収益拡大を図る狙いがある。
日航は事業領域を拡大するため、5月に発表した中期経営計画の改訂版に19年度比で約3000人増員する方針を盛り込んだ。赤坂祐二社長は「フルサービス事業(JALブランド)の成長は限定的なので、その他の事業が成長のドライバー(牽引(けんいん)役)になる」と述べている。JALブランド事業への依存度をコロナ禍前の70%から25年度に55%まで引き下げる方針だ。
日航は21年度、中国系のLCC「春秋航空日本」(現スプリング・ジャパン)と、免税店などを手掛ける「JALUX」を相次いで連結子会社化し、約1500人の増員となった。完全子会社で国際線を担うLCC「ジップエア トーキョー」やマイル関連子会社の業容拡大に向けた増員も行う。(読売新聞オンライン 7月20日)
日本航空は観光需要依存型の収益構造から脱皮を図ろうとしているようだ。第7波に対しても医療体制がひっ迫すれば、おのずと政府も国民に行動制限を求め、インバウンド客も制限してくるので、またしても観光業は大きな打撃を受ける。
コロナ禍で観光需要はミズモノであることが明らかになったのだ。観光需要に依存せざるを得ない業種にとっては、これからも不透明な状況がつづく。
たとえば2021年10月期連結決算で最終損益269億円と過去最大の赤字を計上したエイチ・アイ・エス(HIS)は、苦境をどう乗り切ろうとしているのか。何度かテレビ番組で新規事業として蕎麦店運営をはじめることが紹介されたが、飲食店もコロナ不況なのだから、店舗運営の巧拙にかかわらず業績回復への寄与は期待できまい。違和感を禁じ得なかった。
HISが着手する業績回復策の第一はハウステンボスの売却である。HISはハウステンボス株の66・7%を所有しているが、香港の投資会社への売却を進めていることが報じられた。売却額は数百億円に上る見通しという。
大ナタを振るうのだが、次に知りたいのはコロナ禍でのリアルな成長戦略である。
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