2022/07/20
スタートアップへの転職意欲が高まっている。エン・ジャパンが30~50代のミドル世代にアンケート調査したところ、全体の8割近くが転職に前向きなことが分かった。事業の革新性や裁量の大きさが魅力のようだ。一方で「年収が下がっても転職したい」との回答は2割程度だった。スタートアップの待遇改善が人材獲得のカギを握る。
エン・ジャパンが運営する転職サイト「ミドルの転職」を使う30~50代の社会人を対象に調べ、908人から回答を得た。同社によるスタートアップ転職に関する調査は初めて。
スタートアップへの転職意欲を尋ねた質問では「積極的に転職したい」が16%で、前向きな回答は計76%を占めた。「どちらかといえば転職したくない」(17%)と、「転職したくない」(4%)を上回った。年代別にみると、前向きな割合は50代が82%と最も高く、40代は74%、30代は65%だった。
「転職したい」と回答した理由で最も多かったのは「先進性・革新性のある事業に携われる」で46%に上がった。
(日本経済新聞 7月13日)
一般社団法人社会実相推進センターと野村総合研究所が2020年7月に発表した「大企業からスタートアップへの転職経験に関する調査」(対象101人)によると、大企業からスタートアップへの転職を決意した理由として大きかったのは「大企業でイノベーションを起こすことに限界を感じていた」「仕事の自由度・裁量が不十分だった」「今後のキャリアに限界を感じていた」。その一方で「大企業への不満は特になかった」が転職を決意した人も4割近くいた。
しかしスタートアップへの転職にはリスクをともなう。年収が下がるだけではない。スタートアップは創業社長の価値観がすべてを支配し、コンプライアンスに優先される。創業社長は個性も強く、相性が合うかどうかで働きやすさは格段に異なるのが現実だ。
この調査では、対象者101人のうち、転職を後悔している人は1人のみで、約9割が仕事の楽しさと自由度が大幅にアップしたと満足している。しかも8割近くが大企業で身につけた業務を通じた専門性・知識技術(業務治知見)が役に立ったと回答した。
とかく大企業で得たスキルは大企業の看板や経営資源に由来するのでスタートアップでは役に立たないと喧伝されるが、これはうがった見方である。創業社長や組織風土との相性が悪くなければ、スキルを身につけた人ならば十分に活躍できる。実際、活躍している人は数多い。
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