2022/07/15
日本企業の「脱・年功」が加速している。テルモやリコーが相次ぎ20代でも管理職になれる制度を導入。若手の意欲向上や組織の活性化につなげる。商社や金融にも同種の取り組みが広がる。グローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むなか、変化に対応できるリーダー人材の早期の選抜・育成が求められている。
テルモは4月、課長登用の条件を一新した。従来は大卒社員は5段階ある非管理職の等級を各1~3年、計14年程度かけて昇給するのが原則だった。新制度ではポストは社内公募の対象となり、年齢不問で応募できるようになった。現状最も若い課長は35歳だが、20代の登用にも道が開かれた。
医療機器メーカーから総合的な医療課題解決企業への進出を目指す同社。相次ぐ国際M&A(合併・買収)で海外売上比率が7割に達するなど、グローバル化も進む。「激しい変化に対応できるリーダーをつくるには、早い時期からの方向付けが欠かせない」と竹田敬治人事部長は強調する。
(日本経済新聞 7月6日)
昭和の時代にさかのぼるが、勤め人は同期社員に比べて手取りが100円少ないだけで心中が波立ったといわれた。同期との出世競争にそれだけ心血を注いでいたのだが、当時の価値観からすればけっして滑稽ではなく、企業成長のエネルギーに収れんされていた。
どんな仕事をしたいのかではなく、同期よりも偉くなれるかどうか――この一点に賭けて、多くの勤め人は滅私奉公に自主的に埋没していた。オンリーワンではなくナンバーワンが重んじられた。
いまでは隔世の感がある。転職メディア「転職サイト比較」が2022年6月に実施した調査(対象は男性1127人・女性1200人)では、「将来役職者になりたい」は22.4にすぎず、77.6%の人は「役職者になりたくない」という回答だった。
役職者になりたくない理由で最も多かったのは「責任のある仕事をしたくない」。次に「プライベートを大事にしたい」。さらに「目立ちたくない」「会社内の地位に興味がない」という理由もあったが、要は必要以上に仕事にエネルギーを注ぎたくないのだ。
役職者になりたい人にも、ギラギラするような出世志向は感じられない。どの程度まで出世したいかについて、「部長クラス」28%、「主任クラス」20.8%、「課長クラス」20.8%、「役員クラス」16.9%、「代表クラス」13.4%だった。中間管理職になれれば御の字なのである。
ダイバーシティ時代を反映した調査結果ともいえるが、たとえ出世志向が乏しくとも、目標管理制度、成果主義人事などストレスの種となかなか距離を置けない。距離を置くタイプはリストラ予備軍にリストアップされかねず、マイペースで定年まで勤めあげるのは容易でない。
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