2022/07/04
厚生労働省は企業に対し、従業員に副業を認める条件などの公表を求める方針だ。副業を制限する場合はその理由を含めて開示するよう促す。働く人は勤め先を選ぶときに、副業のしやすさを判断材料にできるようになる。副業を認める企業は増えつつあるが、大企業ほど慎重な傾向があり、情報を開示してもらうことでさらなる普及を目指す。働き方の多様化につながり、雇用の流動化の後押しにもなる。
副業や兼業について定めた厚労省の指針を7月に改定する。罰則などの強制力はなく、国から企業側への要請の位置づけとなる。経団連といった経済団体とも連携することで、副業禁止の比率が高い大企業などに指針に基づいた対応を求める。
厚労省の指針はすべての企業を対象に原則、副業を認めるよう促している。企業には副業を認めると自社の業務がおろそかになったり、ノウハウや信用が副業に使われたりすることへの懸念がある。
(日本経済新聞 6月25日)
就業規則で副業を禁じている会社の多くは、副業の解禁は求心力を崩壊させると懸念している。たとえば、社員の生活が成り立っているのは会社が養ってあげているからで、社員が会社に忠誠心を持つのは必然、したがって副業は背信行為で解雇の対象になり得る――とりわけオーナー社長には、そんなタイプがいまもなお少なくない。
オーナー社長としてそれなりの業績を上げる人物は、一般に支配欲求が強い。そうでないと社員を束ねて引っ張っていけないのも一面の真実だ。ただ支配欲求が強ければ、副業は支配下の外部での行為とみなしがちで、到底容認できない。たとえ副業禁止の理由として、健康管理や情報流出防止などを挙げても、ホンネは違う。副業は忠誠心に反する行為なのだ。
しかし厚生労働省が副業解禁を推進すれば、採用広告にも副業OKがアピールされるようになり、副業禁止に固執する会社には採用活動に逆風が吹きかねない。支配・服従意識の改革に迫られていく。
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