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みずほ、顧問に75歳定年制

みずほフィナンシャルグループ(FG)は2023年7月から、社長経験者らが退任後に就く顧問に定年制を導入する。定年は75歳とする。名誉顧問は前田晃伸氏や塚本隆史氏など8人いるが、そのうち6人が定年制の適用により退任となるとみられる。ガバナンス(企業統治)改革の一環で透明性を高めるのが狙い。
みずほでは終身の名誉顧問と66歳までの常任顧問があり、財界活動などに携わってきた。23年7月以降は役職は「特別顧問」に一本化する。特別顧問の任期は1年ごとに更新し最長で6年とする方向だ。もともと顧問は無報酬が原則で経営には関与しないこととしていたが、規律ある人事運営のためルールを厳格化することを決めた。
他のメガバンクでも社長経験者らが顧問として財界活動などに携わるのが慣例になっている。秘書や個室を会社側が用意しているなど、役割に見合った待遇かどうか疑問視する声もあった。
今春のコーポレート・ガバナンス報告書によると、三菱UFJFGは社長経験者らの顧問の人数は数行、信託、証券の合計で14人。同社は18年に制度を見直し、任期つきの特別顧問と、任期に制限がなく無報酬の名誉顧問を用意している。三井住友銀行にも特別顧問と名誉顧問がある。特別顧問は72歳までだが該当者は現在いない。定年のない名誉顧問は6人いる。(日本経済新聞 6月22日)

相談役や顧問に「名誉」「最高」「特別」と付くと、本当に必要な役職なのかと疑問を抱かざるを得ない。たとえ無給でも何のために設置されているのかと。「名誉」「最高」「特別」の定義を明記しないと、これからは廃止が迫られるだろう。
経済産業省は『コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)』 で「相談役・顧問の役割は、各社によって様々であり、社長・CEO経験者を相談役・顧問とすることが一律に良い・悪いというものではない」と断りながらも、役割などの開示を提言している。
「社長・CEO経験者を相談役・顧問として会社に置く場合には、自主的に、社長・CEO経験者で相談役・顧問に就任している者の人数、役割、処遇等について外部に情報発信することは意義がある。産業界がこうした取組を積極的に行うことが期待される」
東京証券取引所や大阪証券取引所などの日本取引所グループは、相談役・顧問等の開示に関する「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」に、代表取締役社長等を退任した者の会社との関係について、業務内容、勤務形態・条件(常勤・非常勤、報酬有無等)の説明を求めている。
たんなる名誉職では困ると指摘しているのだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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