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パワハラ対策、中小企業でも義務化…「指導との線引き困難」「迷う」戸惑い

改正労働施策総合推進法による職場のパワーハラスメント対策が、4月から中小企業にも義務づけられた。人手不足に悩む中小企業は多いが、2020年6月に義務化された大企業に比べ、取り組みの遅れが指摘されている。人材確保の点からも対策が求められている。
 「パワハラと指導との線引きが困難」「適正な処罰・対処の判断に迷う」――。日本商工会議所や東京商工会議所には、パワハラ対策の義務化に戸惑う中小企業の経営者の声が多く寄せられている。
 1月には「ハラスメント対策BOOK」を作成し、対策の重要性を訴えているが、定着には時間がかかりそうだ。両商工会議所が昨年7~8月に実施した調査では、義務化の内容などを把握している企業は42・5%にとどまり、規模が小さいほど割合が低かった。
 義務化で求められる対応には、就業規則にパワハラへの対処方針を盛り込むことや、相談窓口を設けることなどがある。義務化による罰則はないが、対策を講じない企業に厚生労働省は指導や勧告をすることができ、従わない場合は企業名を公表することもできる。
(読売新聞オンライン 4月11日)

指導か、パワハラか――その線引きが難しいと嘆くのは、多くは昭和世代である。もはやマインドリセットのできない年齢に達し、長年にわたって「よし」とされていた価値観の転換は困難を極めている。
昭和世代の多くが部下に対して腫れ物に触るようで、相当委縮しているようだ。だが、委縮している人は、部下への指示や注意がパワハラと受け取られかねないと自覚しているだけマシである。
自分の感情を最優先させるタイプは「パワハラではなく指導である」「口調がきつかっただけだ」となかば開き直っている。
セクハラもそうだが、ハラスメントか否かは、かりに10人中9人が「ハラスメントではない」と判断しても、1人が「ハラスメントである」と判断すれば、その言動はハラスメントに該当する。そのぐらい厳格に考えるべきだが、研修やマニュアルで知識を提供した程度では改善されない。
ハラスメントは人権意識に由来する。人権教育にまで踏み込まないと改善は期待できない。加害者の処罰も厳格化しないと再犯防止につながらない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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