Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

給与総額が17年ぶりの伸び率――厚労省調査

0223

厚生労働省が4日発表した平成26年の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、基本給や残業代、賞与などすべての給与を合わせた1人当たりの現金給与総額は、月平均で前年比0.8%増の31万6694円と4年ぶりに増加、平成9年以来17年ぶりの伸び率になった。円安の進展を背景に、輸出企業を中心に業績が回復。正社員を含む一般労働者の賃上げが進んだ。
賞与を含めた特別に支払われた給与が3.5%増の5万5647円と3年以来23年ぶりの伸び率となるなど、夏冬のボーナス上積みが目立った。基本給などの所定内給与は24万1357円と全体では横ばいだったが、一般労働者は0.4%増。残業代を含む所定外給与は3.1%増だった。
(中略)
また、同時に発表された昨年12月の現金給与総額は、前年同月比1.6%増の55万1878円と10カ月連続のプラス。冬のボーナス増で、特別に支払われた給与が2.6%増と全体の伸びを牽引(けんいん)した。実質賃金指数は1.4%減と18カ月連続のマイナスだった。(産経新聞 2月4日)

こうしたニュースが出るたびに、中小企業経営者の胸の内は苦しくなるようだ。賃上げをしなければ人手不足を解消できないが、賃上げすれば人件費負担が重くのしかかり、まかり間違えば人件費倒産のリスクさえ発生しかねない。

昨年賃上げを実施した電子部品メーカーの社長は腹を固めている。
「今年は体裁を考えて賃上げを行うつもりはありません。社員にも人件費倒産リスクを説明して、何よりも雇用最優先でやっていきます。採用できなければ現有戦力で乗り切るしかないので、もう一度、業務の効率化に取り組みます」。

この部品メーカーは決算賞与を新たに設けて、社員の労に報いる方針だ。
大手企業の賃上げニュースが続々と流されると、世のサラリーマンたちは賃上げが当然だと思うものだが、賃上げが難しい企業は、社員の士気を保つためにも情報開示をしたほうがよい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。