深夜残業を減らして朝型勤務を推奨し、仕事の能率アップを図ろうとする企業の動きが拡大してきた。「朝の方が集中できる」と社員にはおおむね好評で、企業にも残業代を減らせるメリットは大きい。“朝勤”はどこまで広がるか。
冷え込みの厳しい早朝6時半ごろ、東京・北青山の伊藤忠商事東京本社ビルに社員が続々と出社してきた。地下1階の社員食堂で無料のバナナやおにぎり、缶コーヒーなどを受け取り、職場に急ぐ。
同社は昨年5月、残業時間の削減や社員の健康増進を目的に、午後8時以降の残業を原則禁止し、午前5時から同8時までは深夜勤務と同様の割増賃金を支払う朝型勤務制度を始めた。朝は軽食を無料提供する。
(中略)
2013年10月から朝型勤務を試験導入し、半年後に検証すると、総合職の残業は1人当た
り月平均約4時間減り、残業代が約7%削減できた。朝食の費用などを差し引いても4%
減だった。
本格導入後は、予想外の効果が見えてきた。まず消費電力量が約6%減った。(毎日新聞 2月3日)
数年前からブームになった朝型勤務制度に着目したのがファストフードチェーンやカフ
ェチェーンで、モーニングタイムの売上増加に向けてメニュー開発を強化した。コンビニ
エンスストアの挽きたてコーヒーも朝型勤務需要を吸収するなど、モーニングタイムの制覇が外食業界の大きなテーマになっている。
しかし、朝に外食をするビジネスマンにとっては出費が増え、その分を昼食や、他の支出を削減してカバーしなければ勘定が合わなくなってしまう。伊藤忠が無料で朝食を提供するのはまことにありがたいだろうが、この取り組みには残業代や光熱費の削減で捻出された財源を充てるのだから、中小企業でも可能かもしれない。
各企業で朝食の無料提供が始まれば、外食産業にとってはモーニングタイムの利用客減少となって望ましくないだろうが、そのときには、また新たなアイデアが登場するはずだ。
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