公認会計士が足りなくなっている。上場企業の決算をチェックする会計士の作業は会計ルールが複雑になって増えているのに、会計士試験の合格者は減少。監査法人の採用枠を下回る状況が続いている。若手会計士を確保しようとする監査法人同士の競合が激しくなる一方、中小の監査法人では採用を断念するケースも出ている。
昨年、会計士試験に合格した男性(31)のもとには、複数の監査法人の採用担当者から直筆で手紙が届いた。都内の大学4年生の女性にも、合格直後から先輩会計士からの加入が相次いだ。「就職先を探すというより、こちらが選べる状況だった」という。(日本経済新聞 2月2日)
リーマンショック直後、株式上場数の減少によって監査法人の収入が激減して公認会計士の失業が目立った。当時は、地方に行けばクライアントはいくらでも確保できるという理由で、地方に移住する会計士もいたほどだ。しかも監査法人が求人を控えていたことから、公認会計士試験に合格しても就職先が見つからず、職業としての人気も低下基調だった。
それが一転した。アベノミクスによる株式上場数の増加を受けて、今度は会計士が不足している。医師数のように需給動向を見通せない会計士の数は、景気変動に左右され続け、過剰と不足を繰り返している。
監査法人にとっては不足分を採用して、過剰になれば退職させればよいだけだ。場当たり的と言えばそれまでだが、しょせん会計士も雇用の調整弁にすぎない。民間企業と違い、会計業界には徒弟制度が色濃く残っているので、野に放たれた会計士も(この業界はそんんなもの)と割り切っているようだ。
景気が失速すれば会計士が過剰になることは目に見えているが、とくに対策を講ずるにはおよばない業界である。
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