中京大学国際教養学部の大内裕和教授(47)=教育学=が、学生アルバイトに“異変”を感じるようになったのは、7年ほど前からだ。ゼミ合宿の日程を決める際、1人の学生が「バイトは3カ月先までシフトが決まっているので先に延ばしてほしい」と言えば、別の学生は「1週間前に言い渡されるので、それまで予定が分からない」と主張。日程調整できず合宿が取りやめになったのだ。
「バイトがあるので試験日程を変えてもらえないか」と言い出す学生もおり、実際に試験を休んで単位を落としたり、留年したりする学生も出始めた。
大内教授が詳しく話を聞くと「バイト先で不可抗力で壊れたものを弁償させられた」「ノルマを課せられ、達成できないと給料から天引きされた」「12時間連続で働かされた」といった過酷な実態が次々明らかになった。「一見、学生が不真面目なように思えるが、本当に真面目な学生が『勉強したいのに休めない』と切実に訴えてくる。一昔前のバイトは気楽だったが、明らかに違うものになっていた」(大内教授)。(産経新聞 2月3日)
大内裕和教授はこの記事にある状況を「ブラックバイト」とネーミングしたが、学生アルバイトに対する理不尽な扱いは昔から続いている。学生に対しては法令の対象外と思い込んでいるのかどうか、まるで奴隷のように扱い雇用主は昭和の時代からいくらでもいたものだ。
「嫌なら辞めればよい。代わりはいくらでもいる。会社に与えた損失は弁償してもらう」
――こんな発言はそこかしこに聞かれたし、発言はごく普通に実行されてきた。昔と今との違いは、昔は今ほど学生アルバイトのドタキャンがなかったことぐらいか。
ブラック行為の言い訳にはならないが、ドタキャンのストレス発散が雇用主を理不尽な行為へと暴走させているのかもしれない。しかし、勤務時間を調整できずに単位を落とししてしまうのは論外で、学生に交渉の機会が与えられないのなら、大学側が雇用主に話をつける手段に出る以外にないだろう。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。