Talk Genius

人と会社と組織を考えるニュースマガジン

3%以上の賃上げ実施へ=新浪サントリー社長

サントリーホールディングスの新浪剛史社長は18日の決算会見で、22年度春闘では、年収ベースで3%以上の賃上げを実施する意向を示した。
新浪社長は、一律で行うベースアップは考えていないとしたうえで「とりわけ、若い層、壮年には厚く配布するような方向で検討している」と述べた。傘下には外食など複数の企業を持っているため「それぞれの事業体に応じてメリハリ付けながらやってく」とした。
また、コロナ前は年間30―40回米国に行って、ビームサントリーの事業に関与してきたとし「賃上げの原資は海外事業。ビジネスパーソンも海外に行きやすいように、是非、お願いしたい」と述べ、海外渡航制限の緩和の必要性を指摘した。
(ロイター 2月18日)

2月23日、トヨタ自動車の豊田章男社長が労使協議で満額回答の意向を示したことが、各紙・各局で報道された。岸田文雄政権のメッセージを汲んだのかどうかはともかく、影響力の大きい企業の賃上げ表明は、産業界全体の賃上げムードを導く。
時事通信(2月23日付け)によると、豊田社長は「この1年の頑張りにしっかり報いたい。異例だが、賃金と賞与について会社と(労働)組合の間に認識の相違はない」と表明したという。
トヨタ自動車労働組合は、定期昇給を含む総額での賃上げとして、職種や職位別に1人当たり月1600~4900円、一時金として年間6.9カ月分(前年の要求と実績は6.0カ月分)を要求しているという。
豊田社長の「異例だが」という発言には、労組からの要求を待つまでもなく、満額回答を示す意向が現われている。経済界のリーダーの方針として重みをもつ。
賃上げは首相の発信力だけでは限界がある。サントリーやトヨタの事例は、各労組に対して賃上げ要求の活力を吹き込み、今春闘では強気の要求が相次ぐだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

この著者の記事を全て見る

Talk Geniusとは-

ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。