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残業代未払い訴訟で「たかの友梨ビューティクリニック」が和解

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残業代が支払われなかったとして、大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」仙台店の従業員ら2人が、運営会社「不二ビューティ」を相手に未払い賃金計約1015万円の支払いを求めた訴訟は、仙台地裁で和解が成立した。2人が所属する労働組合が26日発表した。
訴えていたのは、仙台店でエステティシャンとして勤務する20代の女性従業員と、30代の女性元従業員。訴状などで2人は、月に80時間前後の残業を強いられたが、時間外割増賃金が支払われなかったと主張していた。
労組「エステ・ユニオン」によると、和解は23日に成立した。条件は非公表だが、不二ビューティは従業員の適切な労働管理に努め、残業代を支払うことを約束したという。
不二ビューティは「今後ともコンプライアンス(法令順守)を重視し、女性たちがより働きやすい職場をつくっていけるように努める」とのコメントを出した。(時事通信 1月26日)

エステサロンは女性従業員で成り立つのだから、労務トラブルは法令順守もさることながら、女性活用という時代の要請にも反してしまう。サービス残業が定着していた企業が従業員と和解をしたところで、サービス残業を当然と見なす風土がどこまで払拭されるか疑問だが、SNSの普及で不都合な真実を隠ぺいできる時代は終わった。

何より従業員の採用が滞ってしまう。ブラック企業の烙印を押されれば、当の企業がいくら否定しようと、若者からは忌避されてしまう。風評被害を主張しても、世間は取り合ってくれない。

真っ当な経営を実践すればよいだけのことだが、滅私奉公で成功をつかんだ経営幹部にとって、思考の切り替えはできても、マインドの切り替えは容易でない。潔く次世代にバトンを渡せばよいのだが、こうしたタイプは一度つかんだ権限への執着が強い。

良し悪しはともかく、その執着心がエネルギーとなって事業を推進しているのだから、労務トラブルで世間の耳目を集めることなどさして堪えまい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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