2022/02/08
何歳まで転職できるのか――。仕事探しで誰もが気になるのが年齢だ。中途採用では年齢を重ねるほどに経験や専門性を求められる。転職のハードルが上がり、尻込みする人も少なくない。
長らく転職年齢の上限とされてきたのが「35歳の壁」だ。現実はどうなのか。総務省の労働力調査をみると、2020年の転職者数のうち35歳以上は186万人で全体の約6割を占めた。このうち45~54歳の中高年は59万人と、10年前から55%も伸びた。
人事コンサルタントの城繁幸氏は「この5年ぐらいで35歳の壁は完全に崩れた」と断言する。背景にあるのは企業側の意識変化だ。「若い人材を育てるよりも、脂の乗った40歳で即戦力になる人材を採ったほうが効率的だと多くの企業が気づいた」と指摘する。
(中略)
市場の求める知識やスキルを磨く「リスキリング」の動きも広がる。ビズリーチの21年調査によると、ビジネスパーソンの55%がリスキリングに取り組んでいると回答した。
(日本経済新聞 1月29日)
厚生労働省が2019年に発表した「中途採用に係る現状等について」に、2015年に実施した「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」(みずほ情報総研)の結果が掲載されている。
この調査では、中途採用の方針は「35歳未満」で約95%の企業が採用に積極的だったが、年齢層が高くなるにつれて採用意欲が低下することが示された。「35歳以上45歳未満」では「良い人材であれば採用 したい」が最多で、45歳以上では「あまり採用は考えていない」が最多となっている。
35歳限界説が裏付けられる結果が出た。それから7年が経ち、35歳限界説は消えつつあるが、厚労省も一役買った。採用年齢の撤廃を啓発するリーフレットに「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」「求めているのは年齢ですか、それとも能力ですか?」と問いかけるコピーを掲載した。
さらに助成金制度を設けた。「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」で、45歳以上の初採用に1事業所当たり60万円、60歳以上の初採用には70万円を助成している。この助成金制度、小規模事業者にとってはかなり助かるのではないだろうか。
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