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高度人材に「年収2000万円」 DXバブルで争奪戦

都内在住の男性(36)は2021年6月に転職活動を始めた。勤めていたシステム会社の営業の仕事に大きな不満はなかったが、視野を広げたいとの思いが募り「気分転換くらいの軽い気持ちで応募した」。手始めにビジネス向けSNS(交流サイト)「リンクトイン」に登録した。
「ぜひ面談を受けてほしい」。驚いたことにすぐさま選考の案内が相次いだ。メールには米欧IT(情報技術)大手の名前がずらりと並ぶ。「検討中の会社より高い報酬を払います」と2000万円近い年収も示された。5社の面接を受けて3社から内定を得た。活動開始からわずか3カ月で転職先を決めた。
 新型コロナウイルス感染拡大の影響で低迷していた企業の中途採用活動が足元で活発になっている。転職支援サービス、リクルートエージェントの調査によると、エンジニアや営業職など代表的な職種の求人数は21年4~6月にコロナ前の水準を回復した。7~9月は20年1~3月比で15%増となった。
(日本経済新聞 1月27日)

国税庁「令和2年分 民間給与実態統計調査」によると、年収2000~2500万円以下の人の割合は給与所得者全体の0.2%。ハイリターンを得られる分、成果が出なければ解雇されるハイリスクもセットだが、いまや長期勤務を前提にしない時代になった。年収2000万円の求人に応じる人材はどんどん増える。
 年収2000万円の求人も増えるだろう。DX人材が不足している実態は、この記事で紹介された都内在住の男性が36歳であることにも反映されている。35歳を過ぎると転職が不利になるという35歳限界説は過去形になった。
 ちなみに同じ調査によると、給与所得者の平均給与は 433 万円(対前年比 0.8% 減)。男女別では、男性 532 万円(同 1.4%減)、女性 293 万円(同 1.0% 減)。 給与所得者の平均年齢は 46.8 歳(男性 46.8 歳、女性 46.7 歳)。30年ぐらい前からほとんど上がっていない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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